秋篠宮家の次女、佳子さまが25日から、日本との外交関係樹立から125年となるギリシャを公式訪問。皇族方は国際親善などのため、海外からの賓客を接遇したり、招待を受けて外国を訪れたりする機会も少なくない。そんな日本と外国をつなぐ皇族方の「あのとき」を振り返る(この記事は2023年2月23日に掲載した記事の再配信です。年齢や肩書などは当時)。
【写真】2013年、スペインで大歓迎を受けて笑顔を見せる皇太子さま(当時)
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63歳の誕生日を迎えた天皇陛下。国内はもちろん、世界のロイヤルや要人などと交流する立場だけに、語学も重要だ。英語以外にフランス語、スペイン語も学ぶ陛下。17年間にわたり、スペイン語を天皇陛下に教えるカルロス・モリーナさん(70)に、授業を通じてはぐくんだ陛下との交流について、話を聞いた。
「つい先週も天皇陛下の授業を行ったばかりです」
そう話すのは、カルロスさんだ。
コロナ禍が始まった当初は授業を中断した時期もあったが、2020年7月には再開。皇太子時代から続く授業は今年で17年目に入った。
「いまは、仕切りもマスクもせずに勉強しています。というのも、勉強をする部屋の机は3メートルほどもあり、すごく大きいためです」
カルロスさんが初めて天皇陛下と対面したのは、また陛下が皇太子だった06年のこと。陛下のライフワークである「水」問題の国際会議がメキシコで開かれることを受けて、陛下はスペイン語に関心を持ったという。
メキシコの母国語でもあるスペイン語は、ラテンアメリカ地域を中心におよそ20の国や地域以上に広がる。英語とスペイン語を習得すれば、コミュニケーションには苦労しないといわれるほどだ。
実際には、陛下が海外の人と交流する場面では、通訳が必ず立ち会う。しかし陛下は、「自分の言葉で伝えたい」と、勉強することを望んだという。
外務省職員のスペイン語の主任講師を務めていたカルロスさんに、外務省の儀典官室から打診がきた。
「皇太子さまの『先生』をして欲しい」
思いがけない依頼に驚きつつも、宮内庁で面接を受け、その2日後に「採用」の連絡を受けた。授業は、当時の東宮御所の一室で行われた。初めてのカルロスさんとのあいさつのやりとりは、勤勉できまじめな陛下らしいものだった。
カルロスさんはスペイン語で、皇太子殿下を表す「Su alteza」という敬称を用いて、あいさつをした。スペイン語については、ほぼゼロからのスタートであった陛下は、カルロスさんにこう質問した。
「それは、どういう意味でしょうか」