東京でも見つけやすい「山菜」がフキ。近所のどこに生えているのか熟知しております(写真:本人提供)

 ちなみに山菜は野菜とは違い、冷蔵庫に入れれば持つというようなものではない。すぐ食べるか保存処理を施さねば劣化してしまうのだ。なので山菜採りは楽しいばかりではない。からみついた土や枯れ葉をとるのはどれも微妙に大変な作業で、普通に野菜を買って食べた方がラクという人が増えるのも無理からぬことである。私だってこうして仲間とワイワイやってるからイライラも楽しさに変わるが、1人で黙々とやらなきゃならんとなれば確かに絶望だよ……と考えていて、私はハッとした。

 自然の恵みに身を浸して生きるには、仲間の存在が不可欠なのだ。採ることも調理することも食べることも、仲間がいてこそ回っていく世界なのだ。山菜を採って暮らす人が減ったことと、我らの食卓が孤立化したことは深く繋がっている。で、もしそうならば、自然に沿った生活を学ぶことは、仲間作りを学ぶってことなんじゃないか?

AERA 2024年5月27日号

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稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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