

「AKIBAカルチャーズ劇場」の支配人、鈴木美紗乃さんへのインタビューも今回が完結編。数多くある「アイドルのライヴ会場」の中でも、とくに異彩を放つ同劇場の名物公演や今後のプランについてうかがった。
<第4回 アイドルやAKIBAカルチャーズ劇場に馴染みのない方にも体験してもらいたいなと思います>
――「劇場支配人」は、ぼくにとって「寄席の席亭」的なイメージです。どのように出演者を選んでいるのですか?
鈴木 こちらからお願いする場合と、アーティストさん側から提案される場合と両方あるんですけど、こちらから声をかけさせていただく場合は私が選択しています。自分が見たり聴いたりして「このユニットの公演をお客様に見てもらいたい」という思いと、実際の劇場のキャパシティ(定員298人)的な部分を考えてブッキングすることが多いですね。
――新しいアイドル界の動きを紹介することにも積極的です。わーすたは、2015年の「新人公演」の1位になって、一気に知名度をあげた気がします。
鈴木 新人公演は「グループ結成1年未満のユニットであること」が条件なんです。わーすたさんは結成されるまでに、それぞれ「iDOL Street」のストリート生として2年近いキャリアを持っていました。グループとしてはデビュー間もない状況だったので、ちょうど良いのではと思ったのですが、こちらの想像以上に勢いがありすぎてビックリしましたね。まさか新人公演でチケット完売が起きるとは思いませんでした(笑)。ただその分、今年は、アイドルを始めて間もない子を集めて結成されたグループにとっては不利だったかもしれません。どこに照準をあわせて揃えていくかが今後の課題ですね。甲子園のように毎年の夏の名物企画になればと思っているので、これからも試行錯誤してより盛り上がるものにしていきたいと思っています。
――10月からチーム・負けん気の選抜メンバーによる公演も始まりました。アップアップガールズ(仮)、チャオ ベッラ チンクエッティ、吉川友の連合軍ですが、とくにアプガは2013年10月のオープニングイベントにも出ていますし、AKIBAカルチャーズ劇場と縁が深いですね。
鈴木 本当に、大事な時にはいつも出ていただいているという感じです。アプガさんが出ると空気が締まるというか、会見の場にいてもらえると安心しますね。つくばテレビとしてもグループが結成された頃、まだアップフロントガールズ(仮)だったときから関わらせていただいているし、私はその前の(ハロプロ)エッグの時代からメンバーさん達を見ていたので。
――7人の成長をずっとご覧になっている。
鈴木 私が一方的に見ているだけなんですけど(笑)。だから番組が始まった時に「あの子たちがグループ組むんだ」と思いました。
「エッグからユニットを作ります」ということで、4人が選ばれてスマイレージ(現・アンジュルム)になったじゃないですか。そのとき森咲樹ちゃんや古川小夏ちゃんにも入ってもらいたいなぁという気持ちがあって、でも、洩れちゃったので残念だなという気持ちだったんですけど、その後にアプガができて、こういうグループになって、アイドルって面白いなぁと思います。
――そこまで思い入れのある方がスタッフにいるのは、アイドルにとって心強いと思いますよ。
鈴木 でも、(アイドルと)そういう話はしたことがないです。そもそも、私がアイドル好きという話は知られていないと思います。
――来たる2016年で、劇場も4年目に突入します。新年に向かっての抱負は?
鈴木 今までと変わらず、「安全に安心してアイドルが見れる場所」というのを突き詰めていきたいと思いますね。座ってちゃんとパフォーマンスを味わえる場所、ここに来ないと体験できない空間というか演出をしっかりやっていきたい。「ほかの会場で見ればいいじゃん」とならないよう、「ここでやる公演だから見たい」という風に思ってもらえるようにしたいですね。それには私たちスタッフも、より1つ1つの公演内容や打ち出し方に関わって、こだわっていかなければと思っています。
――秋葉原には外国人観光客が多いですが、劇場へはどうですか?
鈴木 外国人のお客さんも少しずつ増えてますが、まだまだ知られていないですね。たまにチラッと覗きに来る方がいるくらいで……観光ツアーに組み込んだり、もうちょっと外国の方向けに入りやすい“ザ・日本のアイドル”みたいな公演をやろうって計画は前からあるんですが。
――ぼくは何人(なにじん)であろうが何者であろうが、「日本のアイドルの勢いを体感してほしい」と願っているんです。
鈴木 劇場のプログラムは定期的に変わりますし、新しい出演者もどんどん登場するので、今まで来たことがなかった方にもぜひ足を運んでほしいですね。「ここに来れば今、旬なアイドルが見れる」というところをずっと守っていって、アイドルやAKIBAカルチャーズ劇場に馴染みのない方にも体験してもらいたいなと思います。 [次回1/12(火)更新予定]
■AKIBAカルチャーズ劇場オフィシャルサイト
http://akibalive.jp/
■AKIBAカルチャーズ劇場オフィシャルツイッター
https://twitter.com/AkibaCultures?ref_src=twsrc%5Etfw