彼女の周囲のメンバーも明るい。

 そのうちの一つに、車イスのダンスパフォーマンスチームがある。

 彼らは、世界で活動している。

 それだけじゃなく、家族も、

「この子たちが、海外公演できて、わたしたちが付いていかせてもらえて嬉しい」

 と、笑っている。

 でも、彼女たちの人生がそんなに楽じゃなかったことは誰だって想像がつく。

 悲しかったこと、悔しかったこと、過去にもあったし、今でもあるはず。

 なのに、元気で明るい。

 彼女たちを見ていると、

「わたしが落ち込んでいる場合じゃない」

 そう思わせてくれる。

「障害をもった人たちを活かすにはどうすればいいか」

「生きることの大切さを健常者に伝えたい」

 そんなことを伝えたくて、大手の流通で働きながら、大阪から松葉杖で東京まで学びに来てくれる山出光文さん。

 事故で息子が障がい者になったことで、

「障がいをもった家族のための仕事をしたい」

 とオムツのつけ方や介護のモチベーションアップを伝えるために、全国どころか世界を駆け巡っている堺谷珠乃さん。

 彼女も神戸から、神出鬼没なくらいわたしの全国のセミナーに来てくれる。

 彼女たちを見ていると、

「すべての人が生き生き輝ける、良い社会にしたい」

 そう思う。

 それどころか、わたしの言う「志」なんて、彼女たちの活動に比べたら「小さいことだなあ」と、思うこともある。

 わたしは、老いた父親が事故で、車イス生活になったとき、自分のこと、家族のことだけで、世の中のこと、人のことまで考える余裕も無かったし、考えようとも思えなかった。

 だからこそ、父のときへの反省も込めて、彼女たちのために何か手伝えることがあれば手伝いたいと思っている。

 でも、まったく逆。

 今でも、わたしは、彼女たちに元気を与えてもらってばかりいる。