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「主要企業の株式が多いのは、業績に安定感があるためです。中小型株へ投資をするまでの自信はまだないということもあります。家族でよく利用する外食チェーンのサイゼリヤ株も優待狙いで持っていますよ。積み立て投資で貯めたお金はどちらかと言えば生活資金に使う比重が高いのに対し、株式投資で得られたお金は『楽しみ』に使う比重が大きい」

 酒井さんがいま新NISAを利用する人たちに呼びかけたいのは、株価の値動きに一喜一憂しないということだという。

新NISAでは、オルカンをはじめ全世界株型や米国株型の投信が人気だ。しかし、米国や日本の株式市場は現在、史上最高値圏にある。これからはいつ相場が値下がりしてもおかしくない。

「特に新NISAをきっかけに投資を始めた初心者が慌ててしまわないかが心配です。実は私がリーマン・ショックを受けて一度積み立て投資を中断したのは、株価の急落を受けて、積み立てきた額に比べて残高が半分くらいに減ってしまったことに驚いたことが理由です。ちょうど子どもの歯の矯正費用が必要だったこともあって、一気に全額を解約してしまいました。今から考えると『アベノミクス』による株価の上昇で15年には残高も回復していた計算です」

こうした経験から言えるのは、相場が値下がりしても、焦ったり慌てすぎたりする必要はないということだ。

「そのためにも大事なのは、まずは投資の目的をはっきりとさせておくことです。いつ、どんなことにどれだけのお金が必要か。それが分かっていれば、もうけが出ている時に余裕をもって、しっかりと利益を確定することができます。また、相場の動きに振り回されすぎないようにするという意味でも、資産の運用は新NISA一本やりではなく、ほかの手段も利用しておいた方がいいと思います」

(AERA dot.編集部 池田正史)

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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