「仕事をつきつめていったら低予算になった」と語る叶井さん(撮影/写真映像部・上田泰世)

 心霊現象は信じていないという叶井さんだが、

「1カ所だけCGだとしてもわからないところがあって、信じざるを得ないかなと。パート2でも、正直わからないところがある」

つきつめたら「低予算」に

 昨年は若手監督を起用し、昔話の「花咲か爺さん」「桃太郎」をスプラッターホラーにした「恐解釈」シリーズも世に送り出した。興行的には「失敗」というが、昔話ではないモチーフに切り替えて第3弾を企画している。

「三茶」も「恐解釈」も、驚くほどの低予算で制作した。

「ベテランだとその予算では撮ってくれないから、若手監督で探すんです。変わった映画祭をチェックしたり主催者に聞いたりして、脚本も監督もできる人を探し出して、『この予算で撮れないなら企画は成立しない』とお願いして撮ってもらった。それで、シネコンでも上映されるような映画ができたんです。大手の映画でなければ、これくらいの予算じゃないと儲からないよ」 

「低予算」は、叶井さんが手がける映画のキーワードだ。

「低予算映画だから好きというわけじゃないけど、仕事をつきつめていったらそうなった。低予算で、どこまで設定やテーマをつくり上げるかというところは、まともな映画でもバカ映画でも大事だと思う。低予算だと、『ムカデ人間』にせよ『人肉饅頭』にせよ、内容勝負になるでしょう。低予算の中でしかできない発想、やり方があるということに気づいていった。メジャーと同じことをやってもしょうがないでしょ」

映画を見ずにポスターや予告編を考える

昨年12月には叶井さんが手がけた映画をあつめた「東京国際叶井俊太郎映画祭」が行われた撮影/写真映像部・上田泰世)

 過去の作品もふくめ、手がける作品はずらっとホラー作品が並ぶ。しかし、「ホラー作品は好きではあるけど、こだわってはいない」。メジャーに勝つために低予算でより刺激的な作品をつきつめていった結果、ホラーがいちばん戦いやすいジャンルだった。

「ホラーは感動作とかに比べてポスターがつくりやすい、宣伝しやすいんですよ。予告編は映画ファンがびっくりするように、自分の見たくなるようなものを、力を入れてつくってます。ホラーは、低予算でも面白いものがつくれるジャンルでもあると思います」

 宣伝を手がける映画は昔からほとんど見ない。プロデュースする映画でも、資金を集めたらあとは完全に現場に任せてしまう。

「感情移入しちゃうとよくないから、どんな映画かわからない状態でポスターとか予告編を考える。これは自分なら見たくなると思える予告編ができるとうれしいんです。でも、見ないけどね。本当はダメですよ、配給や宣伝にかかわる人間は絶対にその映画を見たほうがいいんだけど、俺は見ないという方針です」

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