成績つくのは小5から

 英語学習のスタートは小学3年生からとなりましたが、この時点ではまだ教科ではなく「外国語活動」となっています。小学4年生までは教科ではないため、成績もつきません。成績がつくのは高学年となる小学5年生から。ゲームや歌などで英語に親しむための取り組みの多かった3、4年生の時とは違い、高学年は読み書きの学びもスタートします。

 覚える単語数は3年生から6年生までの4年間でおおむね600語から700語。そして、中学ではこれらの単語はすでに学習済みとして扱われ、授業が進んでいきます。しかし、小学校英語の指導力にはまだばらつきがある状態です。漢字ほど丁寧な指導は行われないまま、中学へと送り出されるケースも見られます。都内の私立中学で教える英語教諭は「小学校での英語指導は質の確保がまだおぼつかないため、英語嫌いを増やしてしまうという懸念がある」と漏らします。

 実際、文部科学省が行っている全国学力・学習状況調査では、英語が好きかとの問いに「当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」と答える中3の生徒が減り、「当てはまらない」「どちらかといえば当てはまらない」と回答した生徒が増えています。正式に英語が小学校で科目となった翌年の2021年度の調査では、この二つの答えを選んだ生徒が全体の31.5%となり、2013年度の同じ調査と比べて8ポイント近く増えていました。また、23年度の調査では、「当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」が4.6ポイント減って、52.3%にとどまりました。

 海外の学校では、公教育において外国語活動を低学年から行うところもありますが、日本とは状況が違います。例えばアメリカ中西部にある公立の学校では、日本の幼稚園年長にあたる年齢から外国語の学びが入っていますが、これはその地域の特性もこれを後押ししているからだと言えます。この公立学校は世界的に有名な大学のキャンパスエリア内にあり、学校に通う子どもたちも海外からの留学生の家庭や、研究者の家族が多くいるため多国籍化しているからです。多国籍の子ども同士の関わりが教室の中でもあるため、教室で学ぶだけでなく、外国語に触れる機会が日々の生活の中にあるのです。日常的に外国語に触れる機会のある中で外国語を学ぶのと、教室の中だけでしか外国語に触れないという環境ではおのずと身につき具合も変わるでしょう。

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英語力の強化は家庭のコミット具合による