日本映画として初めて、「ゴジラ-1.0」で第96回アカデミー賞視覚効果部門を受賞した山崎貴さん。「メタルギア」シリーズや「DEATH STRANDING」を生み出し、革新的なゲームで国内外のファンを魅了する小島秀夫さん。世界と対峙する二人が、ハリウッドとの向き合い方を語り合いました。AERA 2024年4月22日号より。
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──視覚効果部門を受賞したことで、山崎貴さんや白組への視線は熱を帯びている。
小島秀夫(以下、小島):得意分野でいくのがいいですよ。
山崎貴(以下、山崎):それは本当に大事ですよね。「ゴジラ-1.0」を作ったときも、「シン・ゴジラ」の後だったので、ハードルが高かったんですよ。どうやって自分の土俵に乗せるかを考えていました。
小島:集大成ですよね。ゴジラのシーンだけでなく、戦後の風景だって、ああは撮れないです。あれは山崎さんが以前作った「ALWAYS 三丁目の夕日」からつながっていると感じました。
山崎:「シン・ゴジラ」と戦うには得意技をかき集めなきゃいけないなと思ったんです。
小島:次の隠しカードはなんですか?
山崎:もう全部使っちゃいました(笑)。もしハリウッド資本の映画を作るとしたら、どうやって自分の得意技に持ち込もうか……。何回か痛い目に遭いそうな予感もしています。
小島:VFXが一切出てこない映画とかは?
山崎:絶対に無理です!
小島:VFXって書いてあるけど、ヴィジュアルじゃなくて、違うやつとか。バイオレンス……。
山崎:ははは。でも、すべて日本語で、日本人しか出てこない映画でもある程度の数字が出せるという前例になれたと思っています。これから映画を作る人がそれを意識して、ハリウッドを狙う作品が出てきたらうれしいですよね。でも、巨大なシステムがごうごうと音を立てて回っているところに飛び込むのはなかなか大変そうな気もします。