私「わざわざ運んでもらってさ、なぜお金もらえるのよ? いくらサービスとはいえそれはちょっと甘やかしすぎだわ。ベルマークためるのとはわけがちがうだろ。操縦してるのは機長さん、サービスしてるのはCAさん、燃料入れたりメンテナンスしたりしてるのも職員さん。俺たちなーんにもやらずに乗ってるだけだよ。お金払ってるけど、お金出してるのは仕事の発注先だからね。俺は乗ってるだけ。で、落語やって帰ってくるだけ。それなのにマイル貯めてまたタダでひと旅行しようってのはどーも解せんなー! そんなことしていいの!?」

A「制度としてはいいんですよ」

私「やだ!」

A「……じゃ、ムリに貯めなくてもいーんじゃないですか。でも……絶対、損してますよ」

私「損はしてねーだろ! 元々無かったもんだもの! 俺は飛行機乗れるだけで十分だ!!! それになんか難しい審査とかあるんだろ! そのマイレージナンチャラカードは落語家みたいな浮草稼業でも作れんの!?」

A「作れます」

私「え? そーなの?」

A「サルでも作れます」

私「そりゃ言いすぎだろ?」

A「まぁ、言いすぎですけどそれに近い人もマイル貯めてますよ」

 そろそろマイルを貯め始めようかな……。今年の私はかなりの未来人になってしまうかもしれません。あと「円安」はマイルには関係ないんだってさ。へー。

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春風亭一之輔

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/落語家。1978年、千葉県生まれ。得意ネタは初天神、粗忽の釘、笠碁、欠伸指南など。趣味は程をわきまえた飲酒、映画・芝居鑑賞、徒歩による散策、喫茶店めぐり、洗濯。この連載をまとめたエッセー集『いちのすけのまくら』『まくらが来りて笛を吹く』『まくらの森の満開の下』(朝日新聞出版)が絶賛発売中。ぜひ!

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