危機は忍び寄っている。コロナ禍でモノの流通のサプライチェーンが回らなくなるなどで記録的な物価上昇が起き、それを抑えようと日本を除く先進各国は利上げを繰り返した。インフレと金融引き締めに緩和マネーは耐えられず、さすがにバブルも……となっているのが今なのだという。
「金融も財政も出し尽くしてしまったので、バブルが崩壊するともう救済する手段はありません。リーマンの時は中国が資金を出してくれましたが、その中国も土地バブルの崩壊であえいでいます」
小幡教授によると、今は「きっかけ待ち」の状態。リーマン・ショックの時の「リーマン破産」と同様、誰が見ても明らかな悪材料が出れば、そこから崩れていくというのだ。
株価下落より怖い国債暴落
本格的に崩壊し始めると何が起こるのか。
「当然、株価が下がり景気は悪くなります。ずいぶん長い間、バブルに依存した経済が続いてきたので、長期的な不況になるのではないでしょうか。派手にクラッシュするのではなく、根強いインフレと不景気が共存する、『スタグフレーション』のような状況に陥る可能性があります」
さらに日本にとって怖いのは、株式市場への影響だけで止まらなくなった時だという。
「とりわけ国債の信用に火が付くと大変なことになります。日本国債は価格が高い(利回りは低い)状態を保っていますが、この信用が崩れたり、国債を買い取ってきた日銀への不安が出たりして国債が暴落すれば、とんでもない日本売りが始まります」
株安、円安、債券安の「トリプル安」が起き、日本経済は奈落の底に落ちていくという。そうならないことを祈るばかりだが……。
(編集部・首藤由之)
※AERAオンライン限定記事