『糖質疲労』山田 悟 サンマーク出版
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 ランチのあとに眠くなるという人は多いでしょう。大事な仕事や作業をしているときに眠くなると少し不快になりますよね。しかしこれは体の構造上しかたのないこと......と思い込んでいませんか? その症状の原因は、実は「糖質疲労」かもしれません。医師・山田 悟さんは著書『糖質疲労』の中で、糖質疲労の症状をこう説明します。

「食事の後、しばらくして眠い、だるい。または、十分に食べたはずなのにすぐに小腹が減る、集中力が途切れる、イライラする、首の後ろがずんと重くなる――といった症状があるなら、それは『糖質疲労』の可能性が大きいと思っています」(同書より)

 では、どのように糖質疲労を解消すればよいのでしょうか。答えは意外とシンプルで「食べ方」を変えるだけだと山田さん。「ロカボ」と呼ばれる食べ方が重要なのだそうです。

「これまでの健康食の代表、『カロリー制限』『腹八分目』は、実行・継続が難しい食べ方でした。(中略)しかし、私が提案する『糖質をとる量を控え』『その分、たんぱく質と脂質をお腹いっぱい食べ』『食べる順番を意識する』という食べ方は、シンプルで、食事に満足感がもてる、無理のない食べ方です」(同書より)

 具体的にどのような食事をとればいいのかが気になりますね。そこで、同書で紹介されている山田さんの休日の朝食メニューを見てみましょう。

・チーズたっぷりオムレツ(1人前に「卵3個」使用)
・ツナサラダ(オリーブオイルをたっぷりかけて)
・ブランパン(バターはたっぷり)
・無糖、高脂質タイプヨーグルト(人工甘味料をかけてかき混ぜます)
・ナッツ
・コーヒー(生クリーム入り)

 こんなに朝から準備できないという人や平日の朝は忙しいという人は「ゆで卵、チーズ、ナッツを常備するとよい」と山田さんはアドバイスします。大切なのは「糖質控えめ、たんぱく質と脂質はしっかり」という点です。

 ちなみに「ブランパン」は、市販でさまざまな種類のものが売られていますが、山田さん宅で食べているのは、「十分に満足できる1食分(例、朝食時ブラン食パン2枚/約75g)で糖質11g。これは一般的に流通している食パンと同量で比べたとき、糖質60%オフにあたります(日本食品標準成分表2020年版に基づく比較)。普通のパンを食べたいときは、8枚切りあるいは12枚切りの食パンを食べます」(同書より)とのことです。

 ロカボの朝食メニューを見て「こんなに食べるの!?」「脂質をとりすぎでは?」と思ってしまいますが、このメニューで内臓脂肪が増えたり血中コレステロールが跳ね上がったりすることはないと山田さんは断言します。「食後の眠気から解放され、パフォーマンスが向上することでしょう」とも。

 山田さんいわく、一般的に「健康的な食事」と思い込んでいるメニューこそ、実は糖質疲労を招いていると指摘します。

 たとえば健康的な朝食として、果物と野菜のスムージーや、シリアル+低脂肪ヨーグルト+ハチミツなどをイメージしますが、これでは糖質がたっぷりでたんぱく質と脂質が足りていないため、糖質疲労に直結してしまうそうです。

 他にも、ランチはおにぎり&野菜ジュース、麺類は「そば」ならOK、ストレス解消・脳疲労回復・ごほうびに甘いものを食べる、子どものころから「三角食べ」を意識しているなど、これまで良いとされていたものが、食後のだるさや眠気を招いているのだと山田さんは忠告します。

 同書ではこのように目からうろこの知識がたくさん掲載されています。読むと「良かれと思って実践していたのに!」と悔しくなってしまうかもしれません。山田さんの提案するロカボはすぐにでも実践できて満足度が高いのがうれしいポイントです。これを機に同書で「病気と糖の関係」を学び、糖質疲労を克服してみてはいかがでしょうか。

[文・春夏冬つかさ]