西沢:えぐい! でも、そのままだと、A社の製品が選ばれてしまいますよね。
井下田:そのとおり。そこで、私の会社の製品とA社の製品で、ある処理を行うデモを同時に実施しました。それは、めったに発生しない処理なのですけど、実は私、A社のその製品が、その処理を行うとバグが発生することを知っていたんです。なにしろ◯◯社にいた頃、そのパグを取り除くように何度か提案したんですが、それがレアケースの処理であることと、根本的に製品をつくり直す必要があることから黙殺されていたんです。
西沢:もともとその製品を売っていた自分の強みを生かしたんですね。それで、あえて、めったに発生しない処理で、今、自分が売っている製品と同時にデモを行ったと。
井下田:そうです。そして、「A社の製品は優れていますが、こんな致命的なバグがあります。ウチの製品はその点、安心ですが、どちらにしますか?」と。これで、そのコンペでも選んでいただくことができました。
西沢:いやはや、「選ばれる人には、選ばれるだけの理由がある」というのがよくわかります。井下田さんを敵に回したら怖いですね(笑)。
なぜか選ばれないことに悩む人たちへのメッセージ(1) 最善を尽くすことだけ意識する
西沢:井下田さんの新刊『ビジネスコンペ300戦無敗 選ばれ続ける極意』には、「選ばれるための戦略」として、4つの戦略、「試食戦略」「帳尻合わせ戦略」「アドバイザー戦略」「根性論戦略」が登場しています(蛇足ですが、私の最新刊『一流は何を考えているのか』(Gakken)でも、井下田さんの「試食戦略」の成功事例について、クイズ形式で紹介しています)。拝読すると、「これはたしかに300戦無敗になるのも道理……」と納得しました。そこで、もし今、目の前に悩んでいる人が来て「私、いつも選ばれなくて自信を失っています。井下田さんのように選ばれる人になりたいんです」と言われたら、何をアドバイスされますか?
井下田:そうですね、行動や心がけは、本にたくさん書いたので、自信を喪失している方に向けて、あえて3つだけお伝えします。
西沢:ぜひ、教えてください。