「プレゼンで選ばれない人」がやってしまっていること(2) 専門用語ばかり使う
井下田:2つ目は、聞いている相手がわからない専門用語を使ってプレゼンすることです。私が見てきたプレゼンが、ソフトウエアに関するものだということもありますが、まるで自分の頭の良さをひけらかすように、聞いている人たちがまったく理解できない専門用語を並べ立てるプレゼンを何度も目撃しました。
西沢:私はその手のことに弱いので、そんなプレゼンをされたらポカンとすると思います。
井下田:ですよね。ところがあるとき、同じソフトウエア関係のあるベテラン営業から衝撃の言葉を聞いたことがあります。
西沢:ええっ! 衝撃の言葉?
井下田:その彼はこう言ったんです。「お客はソフトウエアの話なんて、どうせ理解できないんだから、プレゼンではバンバン専門用語を使って煙(けむ)に巻けばいいんだよ。
西沢:うわっ、それはひどい。
井下田:でしょ、そのときはお互いに飲んでいたこともあって、ちょっと口論になりました。
西沢:そうですよね。よく理解しないで発注をいただいても、あとから「こんなことは聞いていない」って、クレームになりそうです。その点、井下田さんは、お客様がわかる言葉で丁寧に説明してくれそうですね。
井下田:もちろんです。あっ、そう言えばあるとき、お客様から「我々でもわかるように、英語は使わないで説明してほしい」って頼まれてことがあって、「ディスプレイ」を「画面」と言ったまではよかったんですが、「キーボード」のことを「鍵盤」と言ったら、「そこまではいいよ」って笑われたことがありました。
「プレゼンで選ばれない人」がやってしまっていること(3) 話の流れが悪い
井下田:あと、流れが悪いプレゼンをする人は選ばれません。
西沢:といいますと?
井下田:いわゆる起承転結にこだわって最後に結論をもってくるようなプレゼンは嫌われます。私がプレゼンのときに意識する基本的な流れは、「結承転提(けっしょうてんてい)」です。最初に「結論」、次に「理由の説明」、次に「相手の意表をつくもっとも伝えたいこと」、最後に「提案」という順番です。プレゼンではなく、講演を依頼されたときなどは、「どういう流れでお話をすれば、一番効果的に伝わるか?」を考え抜きます。
西沢:なるほど。いつも同じ流れというわけではないんですね。
井下田:そうです。話をプレゼンに戻すと、大切なのは、どういう順番で話せば聞いてくださっている方にスムーズに共感していただけるかです。共感を1つひとつ積み上げていくことで、最後に「選んで」いただけるのです。