ポプラ社の『おちゃめなふたご』(右2冊)と『十五少年漂流記』(左2冊)の新旧表紙。同一作品とは思えないほど趣が異なる(撮影/写真映像部・佐藤創紀)

 21年3月に新しい児童文庫レーベル「ポプラキミノベル」を創刊したポプラ社も、自社ホームページ内に、読者の子どもたちがハンドルネームでコメントを書き込める掲示板を設置。本の感想や表紙絵を模したイラストの投稿が盛んに行われる。時には本の世界から出て、“恋バナ”が盛り上がることも。

「小学生の投稿ですから、まず編集部でひとつひとつ確認し、個人情報の漏れや、誰かを傷つける可能性がないかなど、チェックしてからアップするようにしています」とポプラ社児童文庫編集部の門田奈穂子氏。でも基本的には自由に何を書いてもOK。

「学校では本のことを話せる友達がいないけど、ここならたくさんいるし、なんでも言える」と何度も投稿してくれる子も。「本を共通項とした居場所になれたら嬉しい」と門田氏も言う。

読書をめぐる二極化

 青い鳥文庫編集部にもサイトへの書き込みはもちろん、昔ながらの読者ハガキを使っての感想が多数届くという。

読書離れが問題視されていますが、実は本や文章に親しむ子とそうでない子の二極化を感じるのが正直なところ」と白土氏は言う。わざわざ切手を貼って送ってくれる作家へのファンレターは、大人顔負けの立派な文章だ、とも。

 アニメやゲーム、受験など、現代の小学生は忙しい。読書の時間が取れない子も多いだろう。でも、本の面白さを、大人がうまく伝えてあげられたら、子どもたちの世界は広がるはず。

 今の小学生たちが、美少年・美少女の、キラキラした瞳に惹かれて本を手にとり、物語の楽しさに気づいてくれるなら、きっと、それが今の時代に相応しい児童文庫のあり方なのだ。(ライター・玉居子泰子)

AERA 2024年4月8日号より抜粋

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