2千人近くのファンが総立ちで「勝手にしやがれ」を大合唱する沢田研二ショー。1週間で2万5千人の観客を動員した=1978年1月ごろ、東京都千代田区有楽町の日劇

 この曲でファンになり、カラオケでも歌い、そして、あ~あでみんなで踊る……あらゆる世代から愛された名曲だが、やはり忘れてはならないのは「帽子」だろう。

「保育園年中さん(5歳)の時にジュリーファーストインパクトの曲で、当時お気に入りの帽子をジュリーと一緒に投げてた記憶あります」(50代・男性)

 ジュリーが歌の途中で帽子を飛ばすアクションは、小学生男子を中心に大流行した。

 保育園児などの未就学児は、曲がかかるとなんでもいいからかぶれる物を取りに行き、小学生は校帽や体育着の赤白帽を飛ばしまくった。通学路で帽子を飛ばすは危険なため、「禁止」となった小学校もあった。

 まさに、世代を超えて大衆に愛された曲だった。

【1位   時の過ぎゆくままに 363票】

「時の過ぎゆくままに」 撮影/写真映像部・高野楓菜 協力/歌謡曲BAR スポットライト 新橋

 第1位は“やっぱり!”という声が聞こえてきそうな、14枚目のシングル「時の過ぎゆくままに」(1975年8月21日リリース/作詞:阿久悠/作曲・編曲:大野克夫)だ。

 沢田研二主演で、3億円事件を題材にしたドラマ「悪魔のようなあいつ」(TBS系)の挿入歌としても使用された。

 ドラマの影響もあり、沢田研二のソロシングルでは最大の売り上げとなる91.6万枚を記録。オリコン週間チャートでは5週連続1位を獲得した。

「3億円事件のドラマのテーマ曲で、切なさを感じる」(50代・男性)

「テレビドラマの主題歌で雰囲気が、退廃的でマッチしており高校生ながら引かれた。音楽の最後の授業で好きな曲を歌って良いことになりギター片手に歌った」(60代・男性)

「退廃的な雰囲気がこの曲で出せるのはジュリーしかいない。他の人が歌うと演歌っぽくなってしまう」(50代・女性)

 ドラマの世界観とマッチした曲とジュリーの伸びやかで艶や色気のある歌声に魅了されたのは、当時の若者だけではない。令和のいまも10代、20代の心にも響いている。

「友達がカラオケで歌っていたので気になり聴いてみたらとても感動したから」(20代・男性)

「初めて沢田研二を知った曲、サビがカッコよくて1回聞いただけでコレだ! っとピンと来た。1番のサビの時の静けさから2番とラスサビの盛り上がりが好き、当時14歳の自分に響いたし、今年で10代ではなくなるが、いまだに1番好きな曲」(10代・男性)

「最も好きな曲」を10曲並べてみて改めてわかったことは、これほどまでに人々を魅了する沢田研二はカッコいい! というひと言に尽きる。

(AERAdot.編集部・太田裕子)