フリマサイトには"鳥山明氏のサイン色紙"とされるものが多数出品されていた

 先週に多く読まれた記事の「見逃し配信」です。ぜひ御覧ください。(この記事は「AERA dot.」に2024年3月13日に掲載された記事の再配信です。肩書や年齢等は当時のもの)。

【本物の保証付】1千万円を超えて取り引きされる鳥山明氏のサイン色紙はこちら

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 3月1日に死去した漫画家・鳥山明氏のサイン色紙が、フリマサイトに大量に出品されている。漫画家のサインに詳しい鑑定士によると、それらのほとんどが偽物だという。人気の『ドラゴンボール』や『Dr.スランプ』に出てくるキャラクターとともにサインが書かれたものが多いようだが、言われてみれば違和感があるものから、見分けがつかないものまで。鑑定士は「眼力に自信がある方以外は手を出さない方がいい」と警鐘を鳴らす。

 12日午後5時ごろ、大手フリマサイトの取引を見ると、「ドラゴンボール 直筆サイン色紙」などとタイトルがついた鳥山明氏のサイン色紙がずらりと並んでいた。

「孫悟空」のイラストが描かれたサイン色紙には80件以上の入札があり、30万円を超える値段がついていた。「神龍(シェンロン)」が描かれたサイン色紙には150件を超える入札があり、45万円の値がついている。

 ほかにも「ブルマ」や「アラレちゃん」、「ガッちゃん」などが入ったサイン色紙には、数万円から数十万円の値がついており、実際に購入されているものも多数ある。

 これらの商品について、何十年も漫画家のサインを見てきたという鑑定士は「すべて正確に見分けられるわけではない」としながらも、
「見た限り、99%が偽物」「本物は数点しかない」
 と断言する。           

 一見すると本物のようにも見えるだが、
「絵のタッチやサインの仕方が本物と違う。明らかに違うものもあれば、精巧に似せているものもある」
 と指摘する。

 なぜ、こういった偽物が出回るのだろうか。

 鑑定士によれば、以前はサイン色紙がほしいとなれば、鑑定士がいる専門店などで購入する必要があった。しかし、フリマサイトが出てくるとともに偽物のサインも多く出回るようになり、サイトが増えることで、鑑定士の目を通らない個人間の取引も増えた。その結果、偽物が次々と出品されてきたのだという。

「本物のサイン色紙がネットで紹介されると、フリマサイトで同じ絵の偽物が出回るということがこれまで何度も見られています。絵心がある人であればサインをまねることができてしまい、残念ながらそれをだまされて購入してしまう人がいます」(鑑定士)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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孫悟空のイラストが描かれたサイン色紙が1500万円