塚本実氏(写真:本人提供)

アドトラック製作会社の“本音”

 今回の規制強化について、業界関係者はどう受け止めているのか。

 アドトラックの製作や広告販売を手がける「LUX(ルクス)」代表取締役の塚本実氏は意外にも、「(規制強化は)歓迎です」と話す。

「都外ナンバーのアドトラックが多いのは、地価の高い東京では駐車場の確保が難しいという事情が背景にあるのですが、デザイン審査を受けたくないがためにあえて都外ナンバーの車を使っている事業者もゼロではないでしょう。業界の健全化のために、きちんとルールを決めて各企業が守るのは大切なことだと思います」

 ただ、規制強化にあたっては課題が2点あると指摘する。

 一つは、現状のデザイン審査は「基準があいまい」(塚本氏)なことだ。東京屋外広告協会の公式サイトに載っている「広告宣伝車自主審査基準」には、「彩度の高い色、原色、金銀色を広範囲に使用しないこと」「著しくどぎついデザインや、くどいデザインを使用しないこと」など審査のポイントが列挙されているが、何をもって「彩度の高い色」や「どぎついデザイン」とするかまでは明確に示されていない。

 塚本氏の知り合いの業者は、以前、高額求人業界のクライアントの広告デザインを提出したところ、ピンクや赤といった派手な色調については何も言われない代わりに、デザイン全体にちりばめられている女性キャラクターの数を減らすよう指示されたという。

暮らしとモノ班 for promotion
携帯トイレと簡易トイレの違いってわかる?3タイプの使い分けと購入カタログ
次のページ
「抜け道」に対する都の対応は?