落ち込む時間よりも
――取材では、「この点は一番優れている、と胸を張って言える強みが自分にはない」と打ち明けた。いま、どんな未来を思い描き、どんな理想像に向かっているのだろう。
山下:アイドルとして、すごく歌がうまいわけでも、すごくダンスがうまいわけでもなく、他のメンバーに比べ「ここが自分の強みです」と言えるポイントがない、と感じています。その分、「体力で乗り切ります!」なんて言いながら(笑)、何でもやってみようという気持ちは強いのかもしれません。
「絶対にこうなりたい」という理想像を強く思い描いているわけでもないんです。今までも、「この作品に入ったからには完走するまで、諦めずに頑張ろう」ということを繰り返していたら、色々な人との出会いがあり、そこからさらに人間関係が広がっていった、という感じだったので、今後もそのスタンスは変わらないのかな、なんて思っています。
今年は25歳を迎える年で、20代もちょうど折り返しになります。アイドルとして、自分に何ができるのか、何をどうすればいいのだろう、と考える時間も増えました。周囲にいる人々のこと、後輩のことを考える時間も長くなっているので、あまり自分について「こうなりたい」「ああなりたい」とは考えなくなっているのかもしれないですね。
「絶対にこうしよう」とゴールを決めてしまうと、達成できなかった時にものすごく落ち込みますし、「自分は何もできない人間だ」と思いこみ、自分で自分の首を絞めてしまうことにも繋がる。
落ち込む時間よりも、前を向いている時間が長い方がいい、ということがこの年齢になりわかってきたので、なるべく自分がポジティブに生きられるように。明るく楽しく、人生を進んでいける方法を考えたいな、といつも思っています。
(構成/ライター・古谷ゆう子)
※AERA 2024年1月29日号より抜粋