フワちゃん

 3月17日、YouTuberでタレントのフワちゃんが、自身のYouTubeチャンネルで動画を公開して、4月から海外生活を行うことを発表した。記者会見風の動画の中で「私、フワちゃんは、4月から海外に行ってめっちゃ遊びます」と報告。演技の勉強をしたり、語学を学んだり、知見を深めたりするためではなく、純粋に遊びに行くのだということを強調していた。

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「なんで芸能人が海外に行くときは、必ず何かを肥やしにしたり、何か志を持っていかなくちゃいけないんですか? そんなこと誰がいったい決めたっていうんですか? 高倉健か? 遊ぶんだよ、とにかく遊ぶ、遊ぶだけ」

 動画公開と共にXでも詳しいコメントを発表しており、日本と行き来しながら仕事も続けていくつもりだという。レギュラーのラジオ番組『フワちゃんのオールナイトニッポン0』も継続予定だ。

 フワちゃんはアメリカ在住経験のある帰国子女であり、もともと海外志向が強い。YouTubeの企画で海外ロケを行ったりもしている。そういう背景を知っていたので、個人的には今回の発表内容もそれほど意外ではなかった。

興味深いのは「遊ぶ」を主張

 興味深いのは、フワちゃんがあくまでも「遊ぶ」ために海外に行くという言い方をしていることだ。何らかの目的を持っているわけでもなければ、そういう建前を振りかざすそぶりを見せることもない。純粋に遊びに行くということを強調するのは、それが紛れもない本音だからなのだろう。

 タレントの仕事には、職人的な部分とアーティスト的な部分がある。職人は求められているものを提供するのが仕事だ。一方、アーティストは自分が見せたいものを表現するのが仕事である。

 たとえば、テレビ番組というのは、基本的には制作者の意向によって作られている。制作者が「こういう番組を作りたい」という明確なイメージを持っていて、それに合わせて出演者をブッキングする。そして、企画の趣旨を説明した上で、必要な役割を演じてもらうことになる。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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フワちゃんはアーティスト志向が高い