経済アナリスト森永卓郎(66・右):1957年、東京都生まれ。獨協大学経済学部教授。著書に『ザイム真理教』『書いてはいけない──日本経済墜落の真相』他多数/経済アナリスト森永康平さん(39):1985年、埼玉県生まれ。マネネCEO。著書に『スタグフレーションの時代』他、森永卓郎との共著に『親子ゼニ問答』(写真:森永康平さん提供)
この記事の写真をすべて見る

 ともに経済アナリストである森永卓郎さんと森永康平さん親子。「年収300万円時代」の到来を予言した父と、人生の大半が「失われた30年」だった息子が日本経済を語った。AERA 2024年3月25日号より。

【画像4枚】新NISA1カ月の人気日本株ベスト30はこちら!〈高配当だらけ〉

*  *  *

森永康平さん(以下、康平):多くの人が短期間で修正できる方法を考えがちで、すぐ効果が出る政策を求めてしまう。僕はそんなにおいしい話はないというのが持論としてある。「失われた30年」と言われますが、30年かけて失ってきたわけだから、取り戻すにも30年かかると考えた方がいい、というのが一つ。それから何をすればいいのかというと、やることやること全部裏目に出てきたのだから、だったら逆にしたらいいんじゃないのという発想です。

 例えば少子化をどうするという時に、親父が1985年起点に言ってたけど、その頃の正社員の比率って85%ぐらいだったんですよ。今って6割ぐらいじゃないですか。非正規をそれだけ増やしたっていうのが、僕は少子化については大きかったと思っていて。厚生労働省のデータを見ていると、年収があればある人ほど結婚できている。

 ただ、政治家は非正規の規制強化や法人増税などは絶対やりたがらないんですよ。企業の経営者に都合の悪いことをやると、当然大きな票田を失うことになるので。

森永卓郎さん(以下、卓郎):康平が言ってるような方向性が出てくればいいんだけど、それは絶対出てこないんですよ。だから私はできないことを言うんじゃなくてもう資本主義そのものをやめようというところに踏み出さないと、と思う。そのいいきっかけがこのバブルの大崩壊になるんだと思っています。

 じゃあどうしたらいいのかというと、グローバルからローカルへ、中央集権から分権へ、大規模から小規模へと、全部経済の仕組みを切り替える。そして、自産自消と言っているんですが、電気でも食べ物でも、自分で作れるものは自分で作る。海外に依存するものはできるだけ小さくしていくという方向性に切り替えた方がいいと思う。

次のページ