バブル世代の浪費自慢は、長いこと若者に嫌われる話題ナンバーワン。でも今年は風向きが変わった。日経平均株価がバブル期にマークした過去最高値を更新したからだ。ドン小西さんに“バブル実話”を振り返ってもらった。AERA 2024年3月25日号より。
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株価が戻るまで約34年。バブルの先人たちを見直した……かは別として、心おきなく自慢しよう。
1990年代に、自身のアパレルブランドのバブルが崩壊、約10億円の負債を抱えた。その元になったバブルな日々を、ドン小西さん(73)はこう語る。
「フィレンツェに夫婦で出張に行ったんだけどさ。妻との待ち合わせ場所の前にあった時計店で、70万~80万円の高級時計を衝動買いしちゃったんだよ。さらに帰りの飛行機でも、トイレの帰りにCAから薦められた高級時計を買って、妻から『ちょっとおかしい』と冷たい目を向けられたね」
ほかにも、世界限定バージョンの8千万円のフェラーリを電話1本で買ってしまったり、イタリア人の秘書を引き連れて、その自慢の車でコンビニに牛乳を買いに行ったことも。
子ども分までゴルフ権
これからますます高くなるので今が買い時という銀行のすすめで、小学生だった子どもの分まで1口数千万円するゴルフ会員権を購入したこともあった。ちなみに銀行がなんでゴルフ会員権の購入を勧めるかというと、購入代金を高い金利で借りてほしいから。
「手持ちがあっても、キャッシュで買うなんて許されなかった。全部借金なんだよね。そうそう、家だって同じだよ」
小西さんにとって極めつきといえる大きな買い物は、今も住んでいるその、港区白金のマンションだ。90年頃、新築時の販売価格は約7億円。さらに戸数が少ないせいで、1カ月の管理費が数十万円したこともあった。
「でも当時は、『管理費だけで高級マンションが借りられるじゃん』とか、無邪気に笑ってたよね。80年代はバブルなんて言葉もなかったし、好景気が終わる日が来るなんて思ってもみなかった。ま、社長といっても当時あたしはまだ40歳くらい。物怖じしないで何でも買うぞと決断できるオレってナウい(笑)って、本気で思ってたんだもの」
(ライター・福光恵)
※AERA 2024年3月25日号より抜粋