瞳みのるが3月13日、東京・六本木のEXシアター六本木でライブ―ツアー「瞳みのる&二十二世紀バンド LIVE2023-2024」の千秋楽公演を開催した。今回のツアーは山森"Jeff"正之(元ザ・シャムロック、現THE ORANGES)を中心とした瞳のバックバンド・二十二世紀バンドの結成10周年を記念したもの。ゲストにはザ・タイガース時代以来の盟友、沢田研二と森本タローが名前を連ねており、会場は超満員の熱気に満ちていた。
ライブ第1部は自身のオリジナル曲や1950年代、1960年代のロック、ザ・タイガースのアルバム曲が中心。1月末に肺炎で緊急入院し健康が心配されていた瞳だが、この日はすっかりいつもの元気な"ピー"。紛争が頻発する近年の世情を憂い『風に吹かれて』(ボブ・ディラン)や『忘れかけた子守唄』といった反戦歌を数多く披露し、77歳とは思えない力強いシャウトと熱いメッセージが胸に響いた。
第2部はデビュー前、大阪・岸里の木造アパートでメンバーと暮らした青春を振り返った『明月荘ブルース』に始まり、続いて沢田、森本を交えたトークショー。話題はファンレターの第一号が郵便局員のバイクに二人乗りした女性が明月荘に持ってきたものだったこと、バンドのリーダーが岸部一徳から瞳に代わり、デビュー後また岸部に戻った経緯など。関西人の幼なじみならではの軽妙で奔放なおしゃべりが楽しい。筆者はリハーサルから一部始終を見ていたが「これはアカンで」「もっとこうしたほうがいい」「ちゃんとゲストの話を聞け」と遠慮なくつっこみ合う姿から彼らの関係性の近しさを感じることができた。アンコールで3人のフロントで披露されたザ・タイガースの代表曲『シーサイド・バウンド』も息ぴったり。2時間余のライブは喝采の中で大団円を迎えた。