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神経質、怒りっぽい、ネガティブ思考……。自分の嫌な部分を自覚しつつも、「持って生まれた性格だから仕方ない」と諦めている人は多い。だが、脳内科医は「性格とは脳の働きが表面化したものであり、そもそも流動的である」と指摘。性格は固有のものではなく、変えることができる。人々の“常識”を覆す、脳科学から見た「性格」とは。

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 人の性格を決めるのは約半分が両親からの遺伝であり、持って生まれた性格は簡単には変わらない――。この通説に対し、「待った」をかけるのは30年以上脳の研究に従事し、ベストセラーを多数出す加藤プラチナクリニック院長の加藤俊徳医師だ。代表を務める株式会社「脳の学校」では、MRI脳画像を通じて脳の健康状態やその人の長所、潜在能力を診断。1万人以上の脳画像診断を通して、「人の性格の特徴と脳には密接な関連性がある」と断言する。

 加藤医師は脳の各部位を八つの働きで分類し、それを「脳番地」と名付けている。思考系・視覚系・聴覚系・感情系・理解系・記憶系・運動系・伝達系という、それぞれの脳番地の発達具合により、得意不得意や個性が生まれる。例えば、思考系脳番地は発達しているが伝達系・運動系脳番地が未発達である場合、集中力や目標達成力が高い一方、心配性でコミュニケーションが苦手な傾向にある。そのため「こだわりが強い」「神経質な人」という印象を持たれやすい。

「人には必ず苦手なことがありますが、それはその脳番地の成長が未発達だから。脳番地を伸ばせば能力は向上します」と加藤医師は言う。つまり脳科学的な観点で言えば、神経質的傾向を持っているのは「性格」によるものではなく、「脳の使い方」によるもの。脳の発達具合の差が自分自身や他者から見た“性格”として表現されているに過ぎないのだという。

性格を変えたければまず「鼻」を通せ

「双子やきょうだいなど、似たような遺伝子傾向がある場合、性格の類似性は少なからず存在することが研究によりわかっています。また、遺伝的な病気などが脳の特性に与える影響も無視できません。しかし、本質的に性格とは、脳の成長の軌跡。そう考えると、99%は後天的なもので、友人や住む場所、収入、健康状態などの環境的要因に左右されるのだと思います」と加藤医師は話す。

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脳の使い方を変えることで性格を変えることは可能