マイナビが運営するフレッシャーズが2015年2月に行った職場のレジェンド社員についての調査を見てみると、輝かしい伝説だけでなく、びっくりするような出来事を起こした人も「レジェンド」に含まれているようです。例えば、このような伝説です。

・一人で破産寸前の会社を立て直してその業界のトップ企業にまでした人
・自転車で車にぶつかって救急車で運ばれたのに、その日の午後に出勤してきた
・一日も休まず定年退職した人がいた

 レジェンドと呼ばれる社員は職場での注目度が高く、面識がない社員からも偉大な存在としてよく話題に登場するなど、やはり記憶と記録面で語り継がれる存在になっています。

 筆者が勤務していたリクルート社には、職場ごとにレジェンドがたくさんいました。例えば、あるアパレル会社の人材採用に関して、何から何まで仕事を任せてもらい、受注額は数億円。その仕事で社内に専門チームが立ち上がり、社史を飾る仕事ぶりをした営業。あるいは、数百億円規模にまで成長した結婚情報誌の立ち上げを社内の反対を押し切って実行した企画担当。こうした人物は、社内でレジェンドとして崇められるほどの存在でした(現在は大半が退社しています)。

 もちろん、リクルート社だけでなく各社にレジェンド社員はいるはずです。記憶と記録の面から語り継がれ、崇められていることでしょう。こうしたレジェンド社員と仕事をするのは緊張するという人も少なくないと思いますが、実際にどのように接したらいいのでしょうか?

●レジェンド社員は妄信されがち! 正当な評価を下す方法は?

 レジェンド社員に対する最も悩ましい問題は、ハロー効果の対象になってしまう可能性が高いことかもしれません。ハロー効果とは、心理学者エドワード・ソーンダイクによって名づけられ、「後光が差す」の“後光”をつかった造語。軍隊の隊長に部下の兵士を評価させたところ、良い特徴も悪い特徴もすべてに関して強い相互相関が見られたことから、人の評価は明確な尺度や基準に沿って行われているというよりは、際立った特徴の良い悪いを全体像として捉えていると結論付けました。

 では、ハロー効果はレジェンド社員の評価にどのような影響をもたらすでしょうか?

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