では三井さんが言うように、事業改革や資本効率の改善に取り組んでいるものの、現時点ではまだ市場から十分に評価されていない企業はどこか。

 三井さんに主なものを挙げてもらったのが下の表だ。事業改革に取り組むことをすでに発表したり報じられたりした銘柄のうち、市場の評価が、株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)など投資尺度(バリュエーション)の点からみて市場全体の動きやライバルなどに比べて低いとみられるところだ。

 「工作機械大手のファナックなど、景気減速や不動産不況の影響で中国事業の停滞が懸念されてきた銘柄のほか、大型のM&A(合併・買収)や設備投資、事業改革の効果が今後、業績面で表れてくると期待される企業などです。どれもこれからもっと評価されるようになってもおかしくはないと考えています」(三井さん)

ライバルに比べ出遅れ気味

 このうち、不動産大手の東急不動産ホールディングスは東京・渋谷一帯で大規模な再開発を進めている。昨年12月には同社が手がけた大型複合施設「渋谷サクラステージ」がオープンした。三井さんは言う。

 「アクセスがよく、働きやすい渋谷の街は若い世代の人気も高い。IT企業も集まっています。社員の働く意欲を高めたり、つなぎとめたりする上でも拠点を置きたいと考える企業は多く、再開発で建てたオフィスの入居率は高い。同社の株価はライバルに比べ出遅れ気味ですが、渋谷の再開発は佳境を迎え、渋谷をメーンとする同社の業績には期待が持てます」

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