鈴木涼美さん
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 作家・鈴木涼美さんの連載「涼美ネエサンの(特に役に立たない)オンナのお悩み道場」。本日お越しいただいた、悩めるオンナは……。

【写真】セクシーすぎる!鈴木さんのキャバドレス姿

Q. 【vol.9】結婚後、仕事に力が入らない自分が不安なワタシ(30代女性/ハンドルネーム「フラ子」)

 私の悩みは、結婚してからより仕事に無気力になったことです。結婚する前は仕事が大好きだった、という訳ではまったくありません。しかし、休みの日に仕事絡みのことをしていてもあまり苦にはなりませんでした。結婚してからというもの、もともと嫌いだった家事が今までよりできるようになり、楽しくなってきました。すると、仕事に注いでいた力が家事にも分散されたからか、仕事に力が入らなくなってきて無気力になった気がします。

 結婚を機に地方から東京へ越して来たのですが、その頃は今までの仕事のスキルを活かしてキャリアアップも考えていました。しかしもうそこまでしなくてもいいやと思うし、正直しんどいです。結婚、引っ越しをして半年、慣れない環境での疲れもあるかと思います。ただ、今は一生懸命働かなくても自分だけの稼ぎじゃないから、という甘えもあります。

 このまま旦那の稼ぎに甘んじて、なんとなく仕事を続けていってもいいのか。軸がブレすぎていて、時の流れにただ身をまかせてフラフラしている自分が不安でもあります。人生の先輩でもある涼美さんから、ぜひアドバイスをいただきたいです。

A. キラキラ仕事女子になる必要なんてない。

 20年間勤労意欲が低い女として生き続けている鈴木です。私は正直、仕事に関して一貫してとても運がよく、恵まれていると思います。水商売の才能なんて大してないのに時代や若さが手伝ってそこそこ稼いでいたし、ポルノ業界なんていう危うい世界に浅はかに足を踏み入れた割にはあまり嫌な思いをすることもなく平和に引退し、たまたまそれなりに給料の良いマスコミの就職試験に引っかかって、運よく修士論文を本にしてもらえたおかげでフリーになるきっかけができ、その後もかなりいい加減な向き合い方をしながらも編集者さんたちに恵まれてなんとか食いつないでいます。

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鈴木涼美

鈴木涼美

1983年、東京都生まれ。慶應義塾大学在学中にAV女優としてデビューし、キャバクラなどで働きつつ、東京大学大学院修士課程を修了。日本経済新聞社で5年半勤務した後、フリーの文筆家に転身。恋愛コラムやエッセイなど活躍の幅を広げる中、小説第一作の『ギフテッド』、第二作の『グレイスレス』は、芥川賞候補に選出された。著書に、『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』『非・絶滅男女図鑑 男はホントに話を聞かないし、女も頑固に地図は読まない』など。近著は、源氏物語を題材にした小説『YUKARI』

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キラキラキャリア女子はあきらめた