アニメ、漫画、ファッション......。近年「クール・ジャパン」という言葉で表象されることも多い日本文化ですが、「日本固有の文化」「日本的なるもの」と言われたとき、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか。



「世界遺産に指定された富士山に改めて内外の熱い関心が注がれ、再び開かれる東京五輪の〈おもてなし〉へ期待が高まる一方、村上春樹の越境的な作品への共感が世界中に読者を広げている。〈日本的なるもの〉の核心はいまどこにあるのか。あるいはそれはすでに境界を失って世界に融解しつつあるのか。そして〈日本的〉とはいまなにを意味するのか」



 こうした疑問に端を発する本書『〈日本的なもの〉とは何か』では、絵画や音楽、建築物や社会を構成するシステムのなかに、「日本的」と呼ばれるものがどのように息づいているのか、それぞれの作品にまつわるエピソードを辿りながら解き明かしていきます。



 浮世絵や陶磁器などを介して、19世紀末に欧州を席巻した「ジャポニズム」のように、日本的なるものは、ときに外国人による眼差しによって発見されることも。



 たとえば、1933年に来日したドイツの建築家、ブルーノ・タウトは、桂離宮や伊勢神宮といった、日本の伝統建築のなかにその固有の美を発見。日本的構築の美学を世界に示したことにより、日本人アーティストの多くは、西欧モダニズムを超えた「日本的なるもの」の再評価と構築を追求するようになったのだそうです。



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