その舞台が、来年1月に同じ会場で上演される。今度は客席にフルにお客さんを入れて。前回の舞台から2年が経ったが、その間に、東京2020オリンピックでは閉会式でソロパフォーマンスを披露した。芝居にも挑戦した。

「前回、舞台を見に来てくれた同世代の女の子が、『しんどい時期だったんだけど、なんか生きるヒントをもらった』みたいな連絡をくれたんですよね。そんな感想を聞いて、表現者としては、常に先を見なきゃダメだと思いました。みんなで必死になって取り組んだからには、見てくれた人たちに明るい未来をプレゼントしなきゃって。この作品での自分の使命はそこなんだって。それがわかったから、今回はもうプレッシャーに押しつぶされることはないと思います」

「星の王子さま」への出演を決めて、実際に上演され、再演されるまでの2年半。アオイさんの中では、たくさんの爆発が起こっていた。彼女が注目されるようになったきっかけの一つである、SNSで公開した歌謡曲をBGMに野菜を持ってダンスをする“野菜ダンス”も、ステイホーム中に、祖母に元気になってほしいと思って始めたものだ。

「仕事が2~3カ月お休みになって、でもちゃんと家で料理はしてたから、野菜を持って昭和歌謡に合わせて踊ったら、おばあちゃんにもわかるから面白いかなと思って。当時は、ちょうど私が20歳になる少し前で、漠然と『なぜ生きるんだろう』『生きる先に何があるんだろう』って考えていた時期だったんです。私は昔から、悩むとすぐおばあちゃん世代に話を聞くことにしていて、そのときも、『生きていれば誰かに出会って、新しいことが見つかって、それが楽しくなるよ』って。『人と出会えばそれだけ物語が生まれるんだよ』って言われた。人との関わりがぐっと減った時期だったので、『よーし、もっと人と会おう!』って思いました(笑)」

 アオイさんの世代は、物心ついたときから、もうインターネットが身近にある、いわゆる“SNSネイティブ”世代だ。でもだからこそ、直接人と会うことの大切さを痛感している毎日だという。

暮らしとモノ班 for promotion
「更年期退職」が社会問題に。快適に過ごすためのフェムテックグッズ
次のページ