そして、私がそうやってハグや握手をしながら痛感したのは、これは決して当たり前じゃないということである。今年開かれたイベントが来年もあるなどと思うべきではない。いつ何が起きるかわからないというのは本当は当たり前のことなのだ。今こうやって再会を喜びあっている相手とも、もしかしてこれが今生の別れになるかもしれない。本当はいつだってそう思って人と接するべきなのである。そう思うと最高に楽しい時間を過ごしながら、時折どうしようもなく切ない気持ちも襲ってくる。
でも、そんな中を精一杯生きていくのが人生の目指すべきところなのでありましょう。だとすれば好きな人とまた次も会えるように、まずはお互い元気で、迷いながらも頑張って今日を生きる。それしかないし、それでいいのだ。
※AERA 2024年3月4日号