ポール・マッカートニーが、ソングライティングについて語る自身のポッドキャスト『A Life in Lyrics』の最新エピソードで、「Yesterday」の歌詞のインスピレーションとなった母親との何気ない会話について明かした。
このエピソードではザ・ビートルズの名曲「Yesterday」を取り上げ、特にブリッジにある“I said something wrong, now I long for yesterday”(間違ったことを言ってしまった僕は今、昨日を恋しく思う)という1行に焦点を当てた。よくカバーされるこの切ないバラードは、バンドの1965年のアルバム『ヘルプ!』で初めて発表されたもので、基本的にはポールのソロ曲であり、彼は弦楽四重奏団と一緒にアコースティック・ギターを弾きながら歌っている。
ポールは、この楽曲は何年も前に母親と交わし、後悔している会話から着想を得たと語った。彼は、「振り返ってみて初めて、その良さがわかることもある」と述べ、ある日、“母を困らせてしまい、とても恥ずかしい思いをした”ことをはっきりと覚えていると続けた。
彼はある日、母親と一緒に裏庭にいたという。母親はとても“上品な”アクセントの持ち主だった。「母はアイルランド系で、看護師をしていたから、ストリート・レベルより上だった。だからある種の何かを持っていて、僕らがちょっと上品ぶっていると思うような話し方をしていた」と彼は語った。
そして、「“ポール、彼に行くかどうか聞いて(ask)くれない?”みたいなことを言われて、僕が、“Arsk! Arsk! ママ、‘聞いて’だよ”(と発音を茶化した。)母はちょっと恥ずかしそうだった。後に、”ああ、あんなこと言わなければよかった”と思ったのを覚えている。そしてそれが心に残ったんだ。母が亡くなってからは、“くそっ、本当にあんなこと……”と思った」と振り返っている。ポールの母メアリーは1956年10月に乳がん手術後の塞栓症により47歳で亡くなった。彼がわずか14歳の時のことだった。
ポールは、相手はきっと許してくれるだろうとわかっているそのような小さな瞬間を“2、3個”抱えており、その“Yesterday”的な瞬間をこすって消せる消しゴムがあればいいのにと思っていると語った。2,000回以上カバーされているこの曲のブリッジに入る前に彼は、「その方がいいね」と述べ、亡き母親のことを実際に考えているとき、”無意識”にこの楽曲のシナリオを“女の子”の歌詞に反転させてしまうことがあるのだろうかと言った。
ポッドキャスト『A Life in Lyrics』の最新エピソードでポール・マッカートニーが「Yesterday」について語っているのは25:15あたりからだ。