半導体チップの基盤となるシリコンウエハー大手のSUMCOも、競合に比べて株価の伸びが低いと指摘されたことがある。同社はウエハー専業のため半導体市況の影響を受けやすい点が不利に働くこともあるようだ。

 「AI(人工知能)やサーバー向けなど半導体の需要は強い。今年半ばに見込まれる市況回復に伴い、出荷量が伸びていく可能性があります」(三井さん)

さらに上げ幅を広げる展開

 ほかにも、今秋の大統領選など「政治」に左右される可能性があることなどから株価は思ったより伸びていないものの、昨年末に米鉄鋼大手のUSスチール買収を打ち出すなど世界的な体制の再編が期待される日本製鉄、現地企業との提携解消により北米事業の自由度が増したり、伊藤忠商事と組んだシナジー効果の顕在化が期待されたりする日立建機などを挙げた。

 三井さんは、企業側の取り組みの評価が進み、投資家の資金が流入する好循環が広がれば、日経平均株価は史上最高値を更新し、さらに上げ幅を広げる展開もあるとにらむ。年内に4万2千円をつける可能性もあるとみている。

(AERA dot.編集部・池田正史)

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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