本当の“素”は見せない?
そんな彼女のスタイルこそ、「推しの子」のアイと共通しているとライターは続ける。
「齋藤は以前、テレビで『好きな本を聞かれても、いつもパターンを決めてて、こういう人にはこの本、と答えるようにしている。本当に好きな本は誰にも言わない』と語っていました。周りから求められていることを敏感に察知し、本当の意味での“素”は明かさないことがポリシーだったのでしょう。齋藤にとって乃木坂での10年は、自分でコントロールできる“素”だけをさらけだし、理想像を体現する、ある種、虚実ないまぜになった新しいアイドル像を描こうとした挑戦の連続だったのかもしれません。彼女のそんな部分にアイとの共通点が垣間見えます」
エンターテイメントジャーナリストの中村裕一氏は、彼女の俳優としての魅力と将来についてこう分析する。
「ドラマ版『マイホームヒーロー』では、自分の知らないところで不穏な動きを見せる両親に不安と疑惑を抱きつつも、自分を守ってきてくれた二人を信じるという、娘としての繊細かつ微妙な表情の揺れを見事に表現していました。また、ハマ・オカモトとMCを務めている『ハマスカ放送部』では、深夜のムードにぴったりな、ちょうど良い感じのアンニュイな雰囲気を漂わせながら、ゲーム企画などでは時折、負けず嫌いな面を見せるなど、バラエティー番組にもしっかり対応しています。今回の『推しの子』は内外の注目度が非常に高い作品ということもあり、彼女にとっても大きなチャンスだと思います。この作品で俳優としてどんな演技を見せてくれて、どこまでジャンプアップできるのか期待したいですし、俳優としてのターニングポイントになることは間違いないでしょう」
乃木坂を卒業し「脱アイドル」を目指す齋藤が、“完璧で究極のアイドル”のアイをどう表現するのか楽しみだ。
(雛里美和)