若い社員との懇談では、ざっくばらんな会話が続いた。
26歳の牧谷滉平さんは、同社の主力である九州の新品種「紅はるか」について話した。すでに入社7年のキャリアがあると聞いた雅子さまは、すこし驚いた表情を見せ、説明を受けた。
皮が見事なほど紅色で、これまでの芋よりも「はるか」においしいことから、この名前がつけられたという「紅はるか」。
牧谷さんは同社で働く前は「紅はるか」も知らなかったし、焼き芋もそうおいしいと感じたことはなかったものの、「紅はるか」の魅力を知った今は、おいしい芋や焼き芋を作るこの仕事が楽しい、と伝えた。
雅子さまは牧谷さんの話にうなずくと、にっこりと笑った。
「紅はるかは、焼き芋にするとすごくおいしいですよね」
わあ、と手をたたいて祝福
牧谷さんはおふたりとのやりとりを、こう振り返る。
「これまでは皇室を意識したこともほとんどなかった。今回お話する機会があると聞いて、ガチガチに緊張してしゃべれないと思っていた。でも実際にお会いすると、想像していたよりもリラックスしてお話できたことに驚きました」
くだけた会話も織り交ぜられたおふたりの気遣いに、若い従業員の緊張もほぐれたようだ。
おふたりは「休憩室をお借りしました。ありがとうございました」と何度もお礼を口にし、視察を終えた。
矢羽田さんは視察の終わりに、おふたりに3人目の子どもを妊娠中の妻を紹介。おふたりは驚いた表情を見せ、「わぁっ」と手をたたいて祝福してくれたという。
「動きますか」
そう話しながら、優しい目で妻のおなかを見つめる雅子さまが印象的だったという。
秋は全国各地で行事が続き、皇室の公務ラッシュとなる季節。温かな触れ合いが、また生まれそうだ。
(AERA dot.編集部・永井貴子)