隔週刊「トミカ歴代名車COLLECTION」は、タカラトミーが厳選した歴代名車を、その詳細を解説したマガジンとともにお届けするシリーズ。スポーツカーからはたらく車まで、毎号付いてくるトミカはオリジナルデザインで、これを集めると、唯一無二のトミカ・コレクションが完成する。
2週間に一度の発売日には、マガジン巻末に収録されるリレーコラム「My car, My mini car」をAERAdot.にも配信。「ランボルギーニ カウンタック LP 400」を取り上げた2月20日発売の20号のコラムは、モータージャーナリスト・山本シンヤ氏による「注目を浴びた〝スーパーカーの横綱対決〟」だ。
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ほとんどのクルマのカタログの巻末には「諸元表」が掲載されている。ボディの寸法、車両重量、パワートレインの形式/出力(最高出力/最大トルク)、使用燃料、トランスミッションのギア比、燃費性能……人でいえば「身体測定」の結果のようなイメージで、クルマ好きなら実車を見ることなくそのクルマのキャラクターをイメージできるはずだ。
日本人は、クルマの諸元に特にこだわる。例えばボディサイズ。「全幅1700㎜以上か以下か」が、今でも重要な要素の一つで、トヨ タ・ヤリスの海外向けモデルは全幅1745㎜だが、日本向けはわざわざ(5ナンバーサイズに収まる)1695㎜となっている。その差は 50㎜……つまり左右で25 ㎜ずつしか違わない。正直、日常使用で困るシーンはほぼないと思うのだが、販売現場では「5ナンバーじゃないと買っていただけないことが多い」という。
もう一つは燃費性能。特にリーマンショック後は「少しでも燃料費を抑えたい」との声が多く、各自動車メーカーはそのために乾いた雑巾を絞るかのごとく開発に注力した。最 もガチだったのが、ダイハツ・ミライースとスズキ・アルトの戦いである。2011(平成23 )年にミライースが30 ㎞/Lの燃費を武器に登場すると、そのわずか2カ月後、アルトは燃費スペシャルモデル「アルト ECO」を追加。その燃費は30.2㎞/Lとわずかながらもミライースを上回っていた、ただ、実際に走行した燃費は逆の結果になることも……。つまり、ドライバーの乗り方次第で変わってしまうレベルだったが、それでも「燃費一番」の称号が重要だったのだ。
実はこのようなスペックの争いは昔からあった。なかでも、現在の諸元表には記載されていない「最高速」の争いはし烈で、1975(昭和50)年連載開始の漫画『サーキットの狼』の影響を受けた子供たちが都市部のディーラーに殺到し、スーパーカーの最高速に注目した。