昨年誕生した五男を抱く竹田さん。自宅の壁は落書きパラダイス。「よそで落書きしてはダメだと教え、自宅ではOKにしています」(撮影/大楽眞衣子)
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 子どもを感情にまかせて叱るたびに、後悔と反省を繰り返す親も多いだろう。どうすれば抜け出せるのか。鍵を握るのは「スルー力」だ。TikTokフォロワー数35万人超の子育てママ芸人、竹田こもちこんぶさんが語る。AERA 2024年2月12日号より。

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 TikTokフォロワー数35万人超の子育てママ芸人、竹田こもちこんぶさん(45)は0~10歳の男児5人を育てている。竹田さんは母親としての経験を重ねるにつれ、叱る・叱らないの区別が明確になってきたという。

「以前は叱るべきこととそうでないことの区別はついてなくて、今より沸点が低くてイライラする言動が多かったと思います」

 と振り返る。おもちゃを片づけない息子に向かって「片づけないともう遊べないよ」「おやつなしだよ」と、何かを引き換えに行動を促すことが多かった。今でこそ落書きだらけの壁紙だが、当初は何度も「書いちゃダメ」と注意した。感情にまかせて叱ると手っ取り早く言うことを聞かせられる。でも「あんなに言うべきじゃなかった」と反省を繰り返す日々が続いた。

 三男が生まれ、いよいよ手が回らなくなったとき、竹田さんが身につけたのはスルー力(りょく)。思い通りにならない子どもを感情でコントロールすることをやめ、危険なことや迷惑がかかること以外はできるだけ自由に過ごさせるようになった。

「前向きにあきらめることで、育児が楽になりました」と話す竹田さん。家の壁やテーブルはキャンバスに。服は汚れてもOK。雨の日は水たまりにダイブして長靴の中までびしょびしょになる。手をかけすぎず、口を出しすぎないことで大事なことの本質も見えてきたという。

「いたずらや道草は今しかできない。大人になるとやらなくなります。それを私は宝物のように楽しみにしていて。5人育てていると全部きちんとすることは難しい。笑って毎日生きられればいいかなって思っています」

(構成/ライター・大楽眞衣子)

AERA 2024年2月12日号