たとえば「今日は中華が食べたい気分。麻婆豆腐と青椒肉絲のどっちにしようかな?」と思いながら野菜売り場へ。すると新鮮でやわらかそうなキャベツを見かけ、「やっぱり回鍋肉にしよう!」などといった具合にメインの献立が決まる。
「あらかじめ数日間の献立を考えて計画的に買い置きするのは苦手なタイプで、冷蔵庫・冷凍庫の中も割とスッキリしています。理想的には、その日に使う食材をその日に買って、すべて使い切るのが一番自分に合っている気がします」
子ども時間は21時まで
晩ごはんを食べているとき、和田さんはひたすら子どもたちの話に耳を傾ける。
「3人が自分の伝えたいことを一斉に話しかけてくるので、ハチャメチャですね。義母(平野レミさん)も同席していると、さらににぎやか。話があっちこっちに飛んでも聞き分けて、まるで聖徳太子(10人の訴えを聞き分けたと伝えられる)みたいになっています(笑)」
食事を終えて、片づけて、子どもがお風呂に入ると21時。21時で子どもたちは各自の部屋に引きあげるというのが和田家のルールだ。どうしても見たいテレビ番組がある場合などは22時まで。この時間以降は居間でパソコンに向かい、自分の仕事をこなすこともあれば、料理を試作することもある。夫婦でゆっくりくつろぐ夜もある。
和田さんがわが子に食を通して教えたいのはどんなこと?
「自分を大切にしてほしいということです。自分自身を大切に思っていれば、むやみに値段が安いものや、異常に早く提供されるものばかり食べるようにはならないはず。おいしいものをいっぱい食べて、幸せに生きてもらいたい。もっと大人になったら、安いものはどうして安いのかという疑問を抱くようになってほしい。値段を安くするために、裏で誰かが犠牲を強いられていないかということも想像できる子になってくれたら」
(ジャーナリスト・大西洋平/編集部・中島晶子)
※AERA 2022年11月21日号より抜粋