12年には「海猿」シリーズで知られる漫画家の佐藤秀峰さんが、映画制作のフジテレビが許諾なく関連書籍を販売したとして絶縁を宣言(15年に和解)。13年には『テルマエ・ロマエ』の作者・ヤマザキマリさんが、同作が映画化されて興行収入が58億円とヒットしたにもかかわらず、原作使用料として支払われたのは100万円だったと告白。物議をかもし、映画を制作したフジテレビに抗議が寄せられた。
お互いの立場尊重して
日本脚本家連盟常務理事の金谷祐子さんは「原作も脚本も、ドラマや映画を作る際の原著作物という意味では、それぞれに著作権、著作者人格権があります。お互いがお互いの立場を尊重していいものを作っていくというのが本来あり得べき姿だと思っています」と語る。
以前は原作者と脚本家は一度は会うものだったが、最近では会う機会は減っているという。
「直接お話しできればお互い物を作っている人間同士わかり合える部分は多いと思うんですが、間に人が立つとどうしてもお互いの話が正確には伝わりにくくなります。大事な話ほど互いに目を見て話したいですね」(金谷さん)
クリエイターの権利が守られなければコンテンツ産業に未来はない。そのためにも検証が不可欠だ。日本テレビは「最終的に許諾をいただけた脚本を決定原稿とし、放送しております」とのコメントを番組HPに掲載している。脚本決定のプロセスに問題はなかったのか、今後調査の予定があるのか、日本テレビに問い合わせたところ「ご質問の件につきましては、当社HPで公表しているコメントが全てです」との回答だった。
作品を支えるクリエイターの未来をどう考えるのか。これ以上、ファンや読者を悲しませるようなことは起きてほしくない。(編集部・秦正理)
※AERA 2024年2月12日号