テレビドラマ「セクシー田中さん」原作者の漫画家・芦原妃名子さんが急逝、各界に衝撃が走った。このような悲劇を起こさないためにはどうすればよいのか。AERA2024年2月12日号より。
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昨年10~12月に放送されたテレビドラマ「セクシー田中さん」(日本テレビ系列)をめぐりトラブルがあったのではないかと報じられる中、原作者の漫画家・芦原妃名子さん(50)が1月29日、栃木県内で亡くなっているのが見つかった。遺書が見つかったとの報道もあり、警視庁は自殺の可能性が高いとみて調べているようだ。
昨今、原作もののドラマは非常に多く、昨年でいえば「ゼイチョー」「トリリオンゲーム」「ハヤブサ消防団」などは漫画や小説が原作だ。テレビ局にとっては原作ファンを取り込めるので視聴率が計算でき、出版社にとっても原作本の部数増が見込めるなど、双方にとってうまみがあるからだ。
撮影開始直前に中止も
実情はどうなのか。担当作品の映像化を何度か経験したことがある漫画編集者によると「プロデューサー、脚本家など、テレビ局側の当事者全員が原作を読んでいる現場は2割くらい」だという。
「そういう現場からあがってくる脚本の第1稿は、原作をきちんと読んでいないことが一目でわかります。原作者が気にしないということで映像化することもありますが、納得がいかずに企画が流れることもあります」
映像化のプロジェクトが走り出してしまえば、原作者側は何もできないのかというとそうではない。NHKがある小説のドラマ化を進めたが、出版元の講談社が「原作小説の、根幹の解釈を覆しかねない、容認しがたい改変」が脚本にあったと異議を唱え、撮影開始直前に制作は中止となった。2012年、NHKは許諾契約を一方的に解除されたとして、講談社を相手に約6千万円の損害賠償を求める裁判を起こしたが、東京地裁は「脚本の承認がされていない以上、許諾契約が成立したとは言えない」とし、NHKの請求を棄却している(のちに和解)。