2月6日は「お風呂の日」。厳しい寒さが続く2月、2度訪れる3連休に温泉旅行を計画している人も多いはず。温泉の効能は古くから知られているが、最近の研究では入浴に加えて温泉地周辺の観光も楽しむことで心身ともに健康をもたらす可能性が示唆されている。お風呂研究の第一人者に聞いた。
【グラフ】日帰り、1泊2日で健康効果が感じられた項目はこちら
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温泉地に長期間滞在し、病気などの温泉療養を行う行為を湯治(とうじ)という。「長期間」とは少なくとも1週間以上。だが、忙しい現代人にとって1週間以上の休暇をとることはそうたやすくない。
「もう少し手軽に健康になりたい……」。そんな人に朗報なのが、環境省が推進する「新・湯治」だ。これは2017年に提言された、温泉だけではなく温泉地周辺の自然・歴史・文化・食なども楽しむことで心身ともに健康になるという過ごし方。行政や団体、研究者などが協力し、温泉地全体の療養効果の科学的解明や年代・国籍問わず楽しめる「にぎわいの創出」に取り組んでいる。
調査によると、温泉に漬かるだけよりも健康効果が得られ、日帰りや1泊2日などの短い期間でも十分な効果があるという。まさに、現代のライフスタイルに合った温泉地の過ごし方の提案だ。
長年お風呂と健康について研究している温泉療法専門医で、調査に関わった東京都市大学人間科学部教授で一般財団法人日本健康開発財団温泉医科学研究所長の早坂信哉氏はこう話す。
「温泉地を訪れた成人1万1830人に行った3年分の調査によると、9割以上の人が『癒やされた』『わくわく、楽しかった』などと回答し、健康や睡眠、美容、幸福感など多くの項目で改善を実感しています。さらに、ゴルフや軽い登山、周遊観光、エステなど、アクティビティーを体験した人は、より心身に良好な変化があったことがわかりました」
この結果について、早坂教授は「温泉に入ってリフレッシュする理由の一つに『転地効果』があります。これは日常生活から環境を変えることで心身によい影響をもたらす効果。さらに温泉地全体の雰囲気に癒やされることで自律神経やホルモンバランスを整う効果は『総合的生体調整作用』と呼ばれ、温泉医学で注目されています」と話す。