皇居の内外で研究を続ける皇室メンバー
清子さんのキャリアを見ても、大学院への進学や留学を選択しないからといって、愛子さまの学びや研究が止まるわけではない。
22歳の誕生日映像で、愛子さまが現存する最古の写本である古典籍を読んでいた通り、宮内庁には貴重な文献を持つ書陵部や国宝・重要文化財に指定された美術工芸品を所蔵する三の丸尚蔵館もある。
上皇さまは、皇居内にある生物学研究所に現在も週に2回通ってハゼの研究に取り組み、愛子さまの父である天皇陛下は水問題の研究者として、海外や大学などでも講演をしている。
ニワトリなど家禽(かきん)類の研究に取り組む秋篠宮さまも、山階鳥類研究所をはじめとするさまざまな団体や学者と交流を続けながら、研究を重ねている。
秋篠宮家の長男で、筑波大学附属高校2年生の悠仁さまも、11年間のトンボ類を他の研究者らと共同でまとめた論文、「赤坂御用地のトンボ相」が、国立科学博物館が発行する研究報告誌に掲載されて話題を集めたばかりだ。
先の山下さんはこう話す。
「4月からは日赤の仕事と公務の両立となり、軌道に乗るまでは大変だと思います。関心を持ってこられた古典文学の研究を続けられるのかどうかはわかりませんが、宮内庁には書陵部もありますし環境としては問題ないでしょう。無理は禁物ですが、古典文学の研究も続けていただきたいですね」
また、宮内庁OBのひとりは、清子さんが企画の段階からたずさわった特別展を上皇ご夫妻に案内したように、日赤で働く愛子さまが福祉や災害救助、感染予防といった分野での専門性を高めて、両陛下にご説明や案内をする光景を目にする機会があるかもしれない、とも期待を寄せる。
「いずれにせよ、社会人としてのご経験は、公務や今後のご本人の人生に役に立つでしょう」(山下さん)
愛子さまが、ご自身の意思で踏み出した新たな一歩は、愛子さまにとって実り豊かな人生をもたらしてくれるに違いない。
(AERA dot.編集部・永井貴子)