東大合格者数が多い高校ならではのメリットがあった、と伊沢さん。
「もう、情報戦で有利というか。学校に行くだけでいい塾の先生とか、いい教材とかの情報が入ってきて」
情報を武器に現役合格した。
一方、地方出身の僧侶・松本紹圭さん(03年、文学部哲学科卒)は「孤独な修業感がありましたね」と言う。
「(北海道の)小樽の中でも外れの、昔は塩谷村って言われてた漁村にいました。だから小さい頃は東大とか考えたことなかったです」
東大を目指したきっかけは「高校入試の成績がたまたま1番だった」こと。何年かに1人、東大に入る生徒がいる高校だったので、自分も行けるかもしれない、と思ったという。
だが、学校で東大対策をしてくれるわけでもないし予備校にも行かなかった。松本さんは、高1のときに赤本を買ってきて、3年後にはこれを解けるようになればいいのか、と東大合格のための「千日間のプラン」を作成。孤独な戦いを戦い抜いた。入学後には、「こんなにもレールに乗ってきた人がいる場所なのか」と驚いたという。一方で、「道は作ればいいんだって手応えを得られたのが、東大受験の一番の収穫かもしれない」。
宇宙飛行士の野口聡一さん(1989年、工学部航空学科卒)は出身高校から初めての東大合格者。高3のときに、立花隆さんの『宇宙からの帰還』を読み、宇宙飛行士になりたくて、1浪して東大に進んだ。
勉強法は異なるが、みな受験勉強を通して多くの収穫を得たようだ。
※次回は各ゲストの名言を紹介します
※AERA 2024年1月29日号