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APS-C用大口径標準ズームは
電磁絞り+ナノクリスタルコート
35mm判に換算して約24~120mm相当になる5倍標準ズームレンズである。APS-Cサイズの撮像素子用のDXニッコールとしては初めてナノクリスタルコートとフッ素コートを採用したほか、非球面レンズやEDガラスも使ったぜいたくな仕様になっている。
広角側で開放F2.8を実現しつつ、小型・軽量化にもつとめて設計され、広角側開放F3.5スタートの16~85mmとほぼ同等のサイズ、重さにまとめられている。今回D7200と組み合わせたが、マッチングもよくボディー込みのトータルした小型システムになる。
ボディーバランスのよい小型・軽量ズームであるうえに、さらに手ブレ補正効果が約4段もあるのが心強い。この数値はCIPA規格準拠での条件で、このクラスで最高レベルである。大口径と相まって、暗い場所での使用にも無理が利き信頼感も増す。
デジタルになって絞り開放から良好な描写をするレンズも増えてきたが、本レンズは絞り込んでよくなるタイプである。
焦点距離により絞り開放値が変化するが、全域で開放時には周辺光量不足が見られる。ワイド側で2段、テレ側で1段絞ったf5.6あたりで周辺まで均一な描写となる。以降、f11まで良好な描写が続き、f16で回折の影響が出始めるが、ここまでが実用範囲である。最小f22は全域で実用に及ばない。
本レンズには電磁絞り機構が搭載されている。絞り羽根の作動が滑らかになり、高速連写時のAE撮影も安定する。また、設置場所が自由になることから光学性能優先の設計が可能になり、それが描写力向上にもつながっている。使えないカメラもあるので注意が必要である。フィルムカメラ、D1/D2系、D2ケタ、D3000では使えない。
ナノクリスタルコートの採用によりフレアやゴーストが著しく低減している印象を受けるが、電磁絞りにも高感度撮影時のゴースト発生を抑制するメリットがある。また、新形状の角形フードが有害光をカットするのに役立ってもいる。見た目にもカッコよく、装着した姿はなかなかよい。逆光に強いレンズ。
常用する標準ズームとして小型・軽量感がうれしく、それに整った操作性、描写性を加えた完成度の高さが魅力のレンズである。
デザイン
小ぶりのスタイルが、絞り開放F2.8スタートのレンズであるとは思わせない。専用フードをつけると高性能レンズらしい雰囲気を伴ってくる。DXニッコール初となったナノクリスタルコート採用を表すNのロゴが誇らしげに見える
使用感・操作感
APS-C(DX)機のボディーとのバランスがよく、快適に使える。AF作動もスムーズで、手ブレ補正の効果が高いのも心強い。ナノクリスタルコートとともにDX機初採用のフッ素コートにより汚れや水滴が付着しづらくなっているので思い切った使い方ができる
描写性
本文で述べたように絞りによる差のあるレンズだ。画面全体が整う1~2段程度絞った描写は高性能レンズに通じる繊細さでシャープな再現である。ボケ味も良好。逆光にも強いだけでなく、階調の再現が美しく、むしろ積極的に使いたくなる
◆ 竹中隆義
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●焦点距離・F値:16~80mm・F2.8~4●レンズ構成:13群17枚(非球面レンズ3枚、EDガラス4枚)●最短撮影距離:0.35m●最大撮影倍率:0.22倍●画角:83°~20°●フィルター径:Φ72mm●大きさ・重さ:約Φ80×85.5mm・約480g●価格:税別12万5000円(実売12万1500円)