【タイプ4】咳がつらい「燥」のかぜ

<気になる症状>
「燥」のかぜは咳が強く、痰がからんで胸に重苦しさを感じることも。呼吸器系の弱い人に多く見られる、治りかけの時期の症状です。

<改善ポイント>

 マスクや加湿器などで湿気を補い、肺を潤すように心がけましょう。

 梨を皮ごと蒸したものや、銀杏入りの茶碗蒸し、百合根のみそ汁、杏仁豆腐、大根の煮物など、肺を潤す食べ物を食事のメニューに加えてみてください。

<摂り入れたい食材>
梨(皮ごと蒸して)、銀杏入りの茶碗蒸し、百合根のみそ汁、杏仁豆腐など

肺を潤してくれる杏仁豆腐 PhotoAC

【ポイント】体力を養ってかぜを寄せつけない身体に

 かぜをひいてしまったら早めに治療することが大切ですが、何より肝心なのは、かぜに負けない身体をつくること。かぜは風邪(ふうじゃ)の侵入によってかかるものなので、外から侵入しようとする風邪をはね除けてしまえば、かぜをひくことはないと、中医学では考えます。体力を養い、防衛機能を高めることで、かぜを予防することができるのです。逆に、体力が落ち、抵抗力が不足するとかぜをひきやすくなるので、十分な体力を養うように心がけましょう。また、身体の疲れはもちろん、ストレスや女性の生理時、出産後などにも注意が必要です。

 生活の中でまず気を付けたいことは、不摂生をしないこと。飲み過ぎや寝不足、疲労などはかぜをひく原因となるので気を付けましょう。また、ストレスを溜めずにいきいきとした毎日を過ごし、気力を充実させることも大切です。空気の乾燥する冬は、のどや肺など呼吸器を潤し乾燥から守ることもかぜの予防につながります。加湿器やマスクを利用したり、梨や銀杏など肺を潤す食べ物をとったりするなどの工夫をしましょう。うがいや手洗いなど基本も忘れずに。

 また、冬のかぜを予防するには、寒さから身体を守ることも大切です。外出する際は手袋やマフラーなどを用意し、なるべく暖かな服装を心がけてください。寝る前にお風呂に入り、よく身体を温めるのも良いですね。お風呂は、ぬるめのお湯に長くつかることがポイントです。あつあつの鍋料理や、ネギ、ニンニク、ショウガなどは、身体を温めて発汗を促す効果があるので、上手にとり入れてみてください。

監修:菅沼 栄先生(中医学講師)

監修:菅沼 栄先生(中医学講師) 1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。1979年、来日。1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。

本記事は、イスクラ産業株式会社監修の中医学情報サイト「COCOKARA中医学」より、一部改変して転載しました

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