このようなアプリはデータサイエンスで言語を解析した結果を土台として生まれてきたわけで、ある意味、東京外語大はその最前線にある。

「今、われわれはデータサイエンスやAIの世界的な大きな潮流のなかにいます。ただ、本学はデータサイエンスや人工知能を研究開発することは目指していません。ですが、その背後にある基本的な仕組みを理解することを学生に求めています。それによって、データサイエンスをツールとしてどの範囲で、どう使えるか、見極められるようになりますから」

言語をロジックでとく

 とは言っても、東京外語大の志願者は外国の言葉や文化を学びたいという意識の学生がまだ多いのではないだろうか。

「志望動機についてはそのとおりですが、それが学生たちの目標ではないと考えています。つまり、その志をベースに本学で何を学び、どのように社会で活躍したいのかが肝要です。その意味でデータサイエンスは今後の社会で生きていくための大事な素養の一つであることは間違いないでしょう。それを使いこなせるようになって、卒業後のキャリアパスをしっかりと切り開いてもらいたい」

 そこで青山副学長は、入学時に基礎的な数学をしっかりと身につけておくことの大切さを強調する。

「数学の一番の根本はロジック(論理)です。そもそも言葉を学ぶうえで、論理的な思考をすることは非常に重要です」

 コンピューターのプログラムを書き記す「人工言語」に対して、私たちが口にする言葉は「自然言語」と呼ばれる。

「プログラムが論理的な規則に基づいて書かれるように、自然言語にもある種のロジックが働いています。なので、一つの言語の仕組みがわかれば、それを応用して別の言語の仕組みも比較的理解しやすい。その本質を見極める力を身につけるためには、高校で数学をきちんと学んでおくことがとても大切です。それによって論理的に考える力が養われますから」

文系、理系の区分けは破綻

 ただ、昨春スタートした、たふDSに対する学生の反応はいまひとつだという。受講生の数は2桁の低い水準にとどまっている。

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文系・理系に分ける考え方は破綻している