大人気ドラマの続編「おっさんずラブ-リターンズ-」が放送中だ。俳優として大きな転換点となった本作を、主演の田中圭さんが語る。AERA 2024年1月22日号より。
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――前作から5年の時を経て、“おっさんたち”が帰ってきた。
2018年に放送され、日本のみならず世界中で社会現象を巻き起こした連続ドラマ「おっさんずラブ」。その続編となる「おっさんずラブ-リターンズ-」の撮影が決まった当初、田中は「嬉しさ半分、怖さ半分」と心境を語った。
田中圭(以下、田中):「おっさんずラブ」は、思い入れが強い作品です。付き合いの長いチームでまた仕事ができることは素直に嬉しいですね。(林)遣都くんや(吉田)鋼太郎さんといった共演者の方々とも、作品をきっかけに公私ともに仲良くなりましたし、5年の間に俳優として成長してきたのはお互いに見てきたので、「早く一緒にお芝居したいね」と話していたんです。
半端じゃないアドリブ
一方で、香港に続いてタイでもリメイク版が作られることが決まったり、「おっさんずラブ」という作品が自分たちの手を離れて大きくなってしまった、という感覚もあります。昔は、「とにかく全員でこの作品を真剣に届けよう!」という気持ちでした。でもそこから5年が経って、LGBTQに対する社会的な理解も進んだり、おじさんたちのドタバタコメディーと見せかけて実はものすごくピュアな恋の話という構造も知られているので(笑)。やはり前作とは見られ方が違うと思うんです。どうすれば皆の期待値を超えていけるのかなとか、やっぱり色々考えることもあります。ただ基本的には、自分たちが楽しむことが、この作品にとってもいちばんいい結果につながると思うので、わくわくした気持ちのほうが大きいです。
現場はすごく心地いいですが、ほかの現場よりもアドリブの量が半端じゃないので常に集中力が求められて何倍も疲れます(笑)。目の前の人が何を言うか、それを受けて自分が何を言いたくなるか。そういう生の即興的なやり取りを逃したくないので、自分のせりふがない部分でもずっと集中していないといけないんです。相手の表情やしぐさの一つも見逃せません。「その場にならないと何が出てくるのかわからない」のが、「おっさんずラブ」なんです。決して台本を無視しようとは思っていませんが、遣都くんや鋼太郎さんたちと向き合ったお芝居のなかで、お互いのリアルな反応を大事にしたい。そこがこのチームの良さだと思っています。