蚊のようなものや光などが見える「網膜剥離」
網膜剥離は、眼球の内側にある網膜が、網膜色素上皮から剥(は)がれてしまう病気。剥がれると視力が低下し、最悪の場合失明につながります。
「以前は約1万人に1人の罹患率だったのが、最近のデータでは約7千人に1人に増えてきています。理由は、網膜剥離の発症リスクとなる近視の人が非常に増えて、若い人もかかるようになったからです。これまで多い年齢層は20代と、50代以降でしたが、今ではそういうピークがなくなり、幅広い年代がかかるようになっています」(門之園医師)
症状は、「白い壁を見たとき、蚊のように黒く動くものがチラチラと見える」「視野全体が暗く、カーテンがかかったような感じ」「眼の中でピカピカと何かが光って見える」など。残念ながら、予防法はまったくありません。症状があれば、眼科へ行きましょう。
進行すると物がゆがんで見える「黄斑上膜」
黄斑上膜は、網膜の中心にある黄斑の表面にセロファン状の薄い膜が張る病気。硝子体(しょうしたい)の残った薄膜がセロファン状の膜になることにより起こります。50代以降に多い病気で、約4千人に1人がかかっています。
早期には自覚症状はなく、人間ドックなどで偶然発見されることが少なくありません。進行すると、網膜にしわができるため、ものがゆがんで見えたり、左右に違いが生じたり、ものが大きく見えたり、視力低下が起きたりします。必ず進行して、自然に治ることはなく、放っておくと最終段階では中心暗転といって視界の中央部が暗くなってしまいます。
「あまり知られていない病気で、患者さんが加齢黄斑変性と間違うこともあります。似たような名前ですが、まったく違う病気。受診して発覚するケースが多く、デジタル時代の生活の質が妨げられるのが特徴です」(門之園医師)
この病気も、予防法はまったくありません。「電信柱や看板が見づらい」「眼鏡をかけてもスマホが読みづらい」などの症状を感じたら、眼科へ行きましょう。