ラピュタロボティクス 代表取締役CEO Gajan Mohanarajah(ガジャン・モーハナラージャー)/1980年、スリランカ生まれ。2005年、東京工業大学工学部制御システム工学科2年次に編入、08年に同大学院を修了。14年にスイス連邦工科大学チューリッヒ校で博士号を取得。同年、会社を設立(撮影/篠塚ようこ)
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 全国各地のそれぞれの職場にいる、優れた技能やノウハウを持つ人が登場する連載「職場の神様」。様々な分野で活躍する人たちの神業と仕事の極意を紹介する。AERA2024年1月1-8日合併号にはラピュタロボティクス代表取締役CEO Gajan Mohanarajah(ガジャン・モーハナラージャー)さんが登場した。

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 流暢な日本語で「よろしくお願いします」と頭を下げ、取材に応じる。その柔和な表情と落ち着いた立ち振る舞いは、社長にもかかわらず、場の雰囲気を緊張させない。

 ロボットを活用し、物流業界の課題解決を目指すラピュタロボティクスは、2023年で「9歳」を迎えた。同年春には特許取得数の多さが評価され、特許庁から表彰もされた。

 だが、会社が軌道に乗るまでには“苦い経験”があった。

 起業後、初めて開発したのは「ドローン」だった。しかし、購入数は伸びなかった。原因を「社会的課題と、ビジネスの規模を考えてなかったから」と振り返る。

「良い商品を作っても、需要がないと買ってもらえない。技術は道具にすぎません。まずは相手の課題を知り、ニーズを知り、話を聞く中で信頼関係を築く。その上で、ビジネスのスケールを考えないと発展しないことを学びました」

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