その後、駒大は第90回大会(2014)で2度目の三冠に挑戦したが、出雲、全日本のいずれも2位と後塵を拝し、“倍返し”を誓った東洋大に阻止される。そして、初挑戦から24年後の2023年、“3度目の正直”で史上5校目の快挙を達成した。

 三冠達成どころか、シード落ちの悲哀を味わったのが、第86回大会(2010年)の日本大だ。

 キダウ・ダニエル、ガンドゥ・ベンジャミンの留学生2人を中心に、出雲、全日本をダブル制覇した日大は、箱根も東洋大、早稲田大とともに優勝候補に挙げられていた。

 だが、留学生が1人しか出場できず、長い距離をこなせる選手を10人揃えなければいけない箱根では、選手層に不安があった。

 そして、迎えた本番、1区で13位と出遅れも、2区・ダニエルが11人をごぼう抜きして2位に浮上。4年間で50人を抜いたのは大会新記録だったが、「寒くて体があまり動かなかった」と本来の突進力がパワーダウンし、40秒差でトップを奪えず。それでも、3区9位、4区7位とつなぎ、トップ・明治大に3分35秒差の4位につけたが、上位争いを演じられたのは、ここまでだった。

 正選手が調整不足で走れず、代役を立てた5区で区間最下位に沈み、往路を13位で終えると、復路も区間3位の7区以外はいずれも二桁順位と悪い流れを変えられず、まさかの総合15位……。「出雲、全日本とは別物だと思って取り組んできたつもりですけど、それ以上に別物だった」(堀込隆コーチ)。三冠最後の難関・箱根は、まさに“天下の険”である。

 史上初の2度目の三冠が往路終了時点で絶望的になりながらも、復路で鮮やかな猛追を演じたのが、第95回大会(2019年)の青山学院大だ。

 圧倒的な選手層の厚さを誇る青学大は、箱根でも優勝候補筆頭だったが、往路でまさかのブレーキに泣く。

 1区は3位。2区で8位に後退したものの、3区・森田歩希が1分1秒26の区間新をマークし、2位・東洋大に8秒差でトップに躍り出る。ここまでは順調だった。

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