「かゆみのない世界をはじめて経験した」患者も アトピー性皮膚炎の治療薬の進歩【近大・大塚医師が解説】
現役皮膚科医がつづる “患者さんと一緒に考えたいこと、伝えたいこと”
アトピー性皮膚炎
2023/12/29/ 06:30
このようにとてもよく効く飲み薬ですが、気をつけるべき点もあります。まず、使える医療機関が限られるということ。すべてのクリニックでこれら3剤が使えるわけではありません。また、投与する際に採血やX線検査が必要になります。副作用がおきていないか、確認しながら投与、継続する必要があります。
注射薬も現在、3種類が使用可能です。
まずは一番有名なデュピクセント。この薬剤が2018年に登場したことで、重症アトピー患者さんの治療がすすみました。アトピーの湿疹には非常に効果が高く、かゆみにも効きます。2週間に1回、注射する必要があります。
かゆみに特化した注射薬ミチーガは4週間に1回の注射薬です。ミチーガを使った患者さんからは、「注射を打った次の日からかゆみが治まった」という声を聞くこともあります。
アドトラーザという注射薬も最近登場しました。こちらは、デュピクセントと同様にアトピーの原因となるTh2サイトカインをブロックする薬剤です。2週間に1回の注射になっています。
上記に説明した薬剤以外にも、新薬の開発が進んでいます。また、薬によって副作用や値段、効果も異なります。アトピーでお困りの患者さんはぜひ、お近くの皮膚科専門医にご相談ください。
大塚篤司
大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman
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大塚篤司
大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman