今年は梅雨明けの時期に3つの台風が同時発生するなど、地域によっては深刻な影響がある気象状況が続いていますが、皆さんの住む町の梅雨明けも気になるところでしょう。
梅雨が明けたら夏がやってきます! 夏はやはり暑い国の音楽を聞きたいですよね。
その代表格レゲエは、ご存じの通りジャマイカで生まれた音楽ですが、日本でもすっかりなじ染み深い音楽になったようです。
日本での夏の洋楽の売り上げはレゲエが半分くらいになると聞いたことがありますが、意外とそのルーツはあまり知られていないよう……なのです。

レゲエのシンボル・キングストンのボブ・マーリー像
レゲエのシンボル・キングストンのボブ・マーリー像

レゲエのルーツ

レゲエはもともとカリブ海の大衆音楽だった「メント」や「カリプソ」などがアメリカから入ってきたドゥーワップ、ソウルなどに影響され、スカ~ロックステディ、ブルービートと変化し、さらに音楽のスピードやバンドのフォーマットが変化することで、1960年代の終わりから1970年代はじめにそのスタイルが確立した音楽です。
レゲエならではの「ンチャ、ンチャ」というリズムは、「メント」にその原型があるようです。
ローカルなポピュラー音楽だったレゲエが世界的音楽に変貌したことについては、ジャマイカのレゲエ歌手 ボブ・マーリーの存在抜きには語れません。
たとえば、「I Shot The Sheriff」(1973年)はボブ・マーリーのナンバーですが、翌74年にエリック・クラプトンがカバーして、全米シングル・チャートNo.1を記録。この世界的ヒットによって、ボブ・マーリーとレゲエは一挙に世界的な存在になったのです。
「I Shot The Sheriff」は、あまりにも有名すぎて知らない人のほうが少ないナンバーかもしれませんが、クラプトンの「I Shot The Sheriff」がボブ・マーリーの曲のカバーであることは、意外と知られていないようです。

広がり、変化する音楽・レゲエ

レゲエは世界中のポピュラー音楽に影響を与えました。
70年代にイギリスで爆発したパンクはレゲエに大きく影響を受けていますし、ポリス (The Police)など白人の人気バンドがレゲエを全面的に取り上げた例もあり、レゲエの要素を加えたその斬新な音楽性は「ホワイト・レゲエ」と呼ばれることもあるほど。同じく、J-POPがレゲエを曲のモティーフにすることも多いですね。
たとえばリズムトラックがコンピュータで作られるようになったり、音加工を施した「ダブ」ができたり……と、レゲエそのものもどんどん変化していますが、世界的にも、例えば東南アジアやアフリカでもレゲエは盛んに演奏されていますし、その土地の音楽と融合して新しいジャンルが誕生することもあります。
レゲエはとは、引用されながら、変形しながら、常に新しいステップを生み続けている音楽といえるでしょう。

レゲエの思想

レゲエは、さまざまな側面をもっていますが、その一つが「ラスタファリアニズム」です。
これは、旧約聖書ないしはユダヤ教の一変種といったもので、エチオピアの大統領だったハイレ・セラシエ(ラスタという言葉はセラシエの幼名「ラス・タファリ」から来ている)を「ジャー((Jah 唯一神を表す語)」として崇拝する、新しい宗教運動です。かつてアフリカから奴隷として連れられ、抑圧されてきた黒人は、アフリカ(ジャーのいるエチオピア)に帰還することで救済される、といった教義をもっています。
レゲエはこの宗教運動の広がりと不可分で、そのテーマソング的な役割を果たしてきました。
ボブ・マーリーにもこれをテーマにした曲が多くありますし、ジャマイカではまだ多くの人が信仰しています。
政治的な側面はともかく、レゲエには人を鼓舞するチカラが存在するのは確かでしょう。
レゲエの基本的ルーツを知ると、さらに魅力ある音楽として楽しめるはず。
もうすぐ夏がやってきます。暑い夏を、レゲエで熱く乗り切りましょう!